首都圏CCS、九十九里海上で燃料油流出事故が発生

8月22日、九十九里町片貝沖で行われている首都圏CCS株式会社の調査掘削現場で、作業支援船から燃料油が海上に流出する事故が発生した。

山武ジャーナルでは、首都圏CCS株式会社と山武市環境保全課に事故の状況とその後の対応について確認した。

給油中にホースが破損

首都圏CCS株式会社の発表によると、事故が発生したのは8月22日午前8時35分ごろ。

九十九里町片貝から約5km沖の「九十九里沖J-1」掘削作業現場で、作業支援船上の給油ホースが破断し、燃料油が流出した。流出した燃料はA重油で、海域への推定流出量は約37リットルとしている。

首都圏CCSへの取材によると、当時は燃料輸送船から掘削リグ側へ燃料を補給する作業を行っており、ホースの破損によって約200リットルのA重油が船上に漏出。このうち約37リットルが海上へ流出したという。

同社は午前8時45分ごろ海上保安部へ連絡。その後は海上保安部の指示に従って対応した。

首都圏CCSによれば、流出量や油の性状などからオイルフェンスを展張して回収する措置は取らず、船舶によって海面を撹拌し、油を拡散させる措置をとったという。また、一般財団法人海上災害防止センターにも連絡したとしている。

なお、首都圏CCSが22日に発表した第1報では、「流出発生後、直ちに流出源を遮断し、関係当局へ通報・報告を行うとともに、浄化作業等の必要な対応を実施」したとしている。

「重油」だが、比較的粘度の低いA重油

今回流出したのは「A重油」だ。

「重油流出」と聞くと、真っ黒で粘度の高い油が海面を覆う光景を思い浮かべるかもしれない。しかし、A重油は一般に重油の中では比較的粘度が低く、軽油に近い性状を持つ燃料油で、粘度の高いC重油などとは性質が異なる。

したがって、今回の事故について、「重油」という言葉からタンカー座礁のような大規模な油濁事故を想像するのは適当ではない。

しかし一方で、量の大小にかかわらず、石油系燃料であるA重油約37リットルが実際に九十九里海域へ流出したことは紛れもない事実だ。

余談だが、環境省の資料によれば、燃焼させて同じ熱量を得る場合、二酸化炭素排出量はLPG(液化石油ガス)やLNG(液化天然ガス)と比較して、A重油の方が多くなる。

二酸化炭素を回収し、地下深くに貯留することでCO₂排出量を削減することを目的としたCCS事業。その調査掘削を支える設備の燃料として、比較的CO₂排出量の多いA重油が使用されているというのは、少々皮肉な話ではある。

山武市には海上保安部から連絡

山武市環境保全課によると、市に事故の第一報が入ったのは22日昼ごろ。海上保安部からの連絡だった。

連絡を受け、商工観光課の職員らが本須賀海岸をはじめ市内の海水浴場を回って状況を確認したが、油の漂着などは確認されなかったという。

このため、市として特別な防除措置などは行っていない。

また、事故から2日後の24日には首都圏CCSの担当者が山武市役所を訪れ、事故について事情を説明したという。

関係当局の巡視も23日で終了

首都圏CCSは翌23日、第2報を公表。

同日午前9時の時点で、周辺海岸への油の漂着、異臭被害、周辺海域での油の漂流はいずれも確認されていないと発表した。また、破断した給油ホースを回収し、原因を調査しているとしている。

さらに同日公表された第3報では、関係当局が陸上と海上から現況調査を行った結果、周辺海域での油の漂流、周辺海岸への油の漂着、異臭などが確認されなかったことから、関係当局による巡視活動を23日で終了したとしている。

首都圏CCSは、これらの確認結果から流出した油が海岸へ漂着する可能性は低いと判断する一方、今後も漁業や周辺環境への影響に留意し、海岸の巡回などを継続するとしている。

事実関係まとめ

今回の事故では、給油作業中のホース破損によって約200リットルのA重油が船上に漏れ、そのうち推定約37リットルが九十九里沖の海域へ流出した。

一方、山武市による海岸の確認や、関係当局による陸上・海上からの調査では、油の漂着や漂流、異臭などは確認されていない。

現時点で、今回の油流出による具体的な環境被害が確認されたとの公的な発表もない。

事故を必要以上に大きく扱う必要はないかもしれないが、九十九里沖で進められているCCS事業の調査掘削に伴う海上作業で、実際に燃料油の流出事故が発生した事実は記録しておくべきだろう。

首都圏CCSでは現在、破断した給油ホースを回収し、破断原因を調査している。

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