
山武ジャーナルによる玉置議員への取材により、齋藤昌秀山武市議が政務活動費を着服していた問題が明るみとなった。
政務活動費は、議員活動に必要な経費として会派に対して所属議員の人数分が年初に振り込まれ、年度末の精算で使用しなかった分は市に返還しなければならない。
齋藤・玉置2議員の会派「市政会」では、「年初に割り当てられた330,000円を半分の165,000円ずつ分配し、それぞれの判断で使用してオーバーした分は自己負担で賄う」との合意でそれぞれが政務活動費を管理していたが、玉置議員が自己負担前提で165,000円を大きく上回る304,564万円の支出をしたのに対し、齋藤議員はモバイルバッテリーとSSD購入で43,881円の支出しかなかったにもかかわらず、斉藤議員が「税理士からの資料が遅れている」などと理由をつけて自身の領収書を出納責任者の玉置議員に開示せず、報告書提出締切最終日に玉置議員の領収書で会派として330,000円全額を使用し、返金すべき残額が0円の報告書を自身で作成して提出し、齋藤議員は玉置議員との合意で本来市に返還すべきだった差額の121,119円を着服したというのが、玉置議員への取材で明らかとなったこの事件の全容である。
今後山武市議会が、齋藤昌秀議員に対してどの様な対応をしていくのかが注目される。
山武市議会は百条委員会設置で真相究明を!!
齋藤昌秀山武市議の政務活動費着服の事実は、齋藤議員が政務活動費でPCのパーツであるSSD(ソリッド・ステイト・ドライブ)を購入したのが不適切である可能性を指摘した事を切っ掛けに発覚した。
齋藤議員に対しては直接事情を聞くべく、記事アップに先駆け6月4日午前中に架電したものの応答はなく、留守番電話とショートメールでもその旨を伝えていたにも関わらず、2日後の6日の午前中にようやく連絡があり、その際にこちらから「実物も確認したいので直接お会いして話を伺いたい」と申し入れたところ、「また連絡します」と言ってその後連絡もなく、こちらからの架電にも応答しない。
玉置議員へのインタビュー内容についても、齋藤議員側の主張も聞くべきと考えてはいるが、こちらかの連絡に梨の礫ではそれも叶わない。
齋藤議員が政務活動費でSSDを購入した件について、山武ジャーナルは「私物を政務活動費で購入したのではないか」という疑義を指摘したものだが、記事がアップされてから齋藤議員から連絡が来たのは2日後で、それだけあればデータの移し替えなど如何様な工作も十分可能だろう。それから更に4日経過しており、今に至ってこれからSSDについて事情を聞いたり、内部データを確認したりするのはあまり意味を持たない。それより、この着服問題の事実関係を明らかにし、齋藤昌秀議員の責任追及と出処進退について、毅然と対応していくのが山武市議会の義務ではないだろうか。
地方議会は、事務に関する疑惑や不祥事に対して、地方自治法第百条に基づき強力な調査権を持つ特別委員会を設置する事ができる。
いわゆる「百条委員会」である。
百条委員会で虚偽の証言を行ったり、証言を拒否すれば、禁錮刑を含む罰則が伴う。
齋藤昌秀議員が山武ジャーナルの架電にも応答じず、市民への説明責任を果たそうとしないのであれば、百条委員会で真相を明らかにし、議会として市民に対する説明責任を果たして頂く必要があるだろう。
たとえば、玉置議員の証言によれば、齋藤議員は政務活動費収支報告書の締切日当日まで自身の政務活動費開示しなかった理由は、「税理士からの書類が遅れている」との事だったが、そもそも政務活動費の報告になぜ税理士が関与する必要があるのか大いに疑問である。
強力な調査権限を持つ百条委員会であれば、齋藤議員に対してその税理士が誰で、どの様な話をしてたのかを聞くことが出来る上、実際にその税理士を証人喚問し、齋藤議員との間にどのような話があったのか、あるいはなかったのかを聞くことも出来る。もし齋藤議員が百条委員会で虚偽の証言をすれば禁錮刑だが、証人喚問された税理士も偽証すれば同様に禁錮刑である。
市民の血税である政務活動費の着服という由々しき問題だけに、それだけの条件を整えて事実関係を明らかにし、その上で齋藤議員には議会として然るべき処分を下すべきではないだろうか。
ポイントは大川義男議長の判断
玉置議員の証言の中で、一つ気になるのが大川義男議長の判断だ。
玉置議員は、自らの割り当て分165,000円を超える分の支出は自己負担で、齋藤議員の使用しなかった約12万円は市に返還されるべきという考えで、齋藤議員が提出した政務活動費収支報告書の訂正を申し出たが、訂正に応じるべきとする石川副議長に対し、大川義男議長は「報告書を訂正すれば市の決算全体に影響するので、報告書通りの支払いがされれば円満解決」という判断を下し、齋藤議員に着服していた分を玉置議員に支払うよう指示した。
しかし、たとえ齋藤市議が着服した金を返還したとしても、着服した事実と罪が消えることはなく、「円満解決」はあり得ない。
山武ジャーナルはこの問題について議会がどの様に考えているのか、大川議長・石川副議長に取材を申し込んだが、大川議長は応じなかった。大川議長は議会事務局を通じて、取材に応じない理由を以下のように説明した。
この度、大川議長においては、現時点で当該事案の内容を把握できていないこと、また、議長の中で斉藤議員および玉置議員の考えが定まっていないと判断した上で、慎重に対応すべきとの考えから、今回の取材は控えさせて頂いたい。
このコメントの内容は、玉置市議へのインタビューも含め、これまで取材した内容とは以下の点で明らかに矛盾する。
・大川議長は6月2日と5日の2度に渡り、齋藤・玉置両議員と会談しており、5日には「円満解決」を図るよう齋藤議員に着服した政務活動費を玉置議員に返還するよう指示していることから、「内容を把握出来ていない」とは考えられない。もし本当に内容を把握していないのであれば、その指示に根拠がなかったことになる。
・少なくとも玉置議員は、政務活動費収支報告書を修正し、齋藤議員に着服した政務活動費を返還させるよう申し出ている。齋藤議員については5日に玉置議員との話の後に呼び出し、その後齋藤議員が玉置議員に謝罪の上返金に応じていることから、そこで何らかの事情聴取や説得などがあったと推定される。齋藤議員はともかく、玉置議員については齋藤議員が着服した政務活動費を返還させて欲しいと明確に意思表示しており、「考えが定まっていない」と判断する要素はない。
大川議長は「円満解決」を図るため、齋藤市議が政務活動費の着服事実そのものを「なかったこと」にしようと考えているのだろうか。
齋藤昌秀議員の「政務活動費着服」という市議会議員として最も許されざる行為に対し、単に返金だけさせて内々に処理してしまおうとするのであれば、山武市議会は市民からの信用を著しく損なうことになるだろう。
この問題について、もはや「円満解決」などあり得ない。
仮に6月議会でこの問題について何の措置も講じることが出来なければ、次の9月議会までの間に市民の方から監査請求など様々なアクションが起こされる事が十分予想される。
大川議長においては、そうなる前に自ら先頭に立ち、「政務活動費着服」という山武市においては前代未聞の由々しき事態に対処するリーダシップを期待するものである。
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