【コラム】選挙とお金

「この辺は昔から金権選挙だから、当選するのはお金を使った順番だよ」

選挙の話題になった時、よくこんな話をする人がいます。嘘か本当か分かりませんが、「1万円札が入った茶封筒を配って回っていた」とか、「選挙のお陰でテレビを買い換えられた」などといった話をされる人もいました。

21世紀の日本で、まさか選挙で実弾が飛び交う状況は流石になくなったとは思いますが、それでも1,000円、2,000円という安い会費の飲み会に誘われて行ったら、途中で候補者が挨拶しに来たというような話はちらほらと耳にします。

お金や物を渡したり、飲食代金の全額または一部を負担して選挙で投票を求めることは、言うまでもなく公職選挙法で禁止された犯罪行為ですが、この法律自体が解釈によって「グレー」な部分も多く、悪い言い方をすれば「やったもの勝ち」の側面も否定できません。

法律的にどうなのかということは一旦横において、物をもらったり、ご馳走してもらったりした見返りに選挙で投票することが、本当に有権者にとって得なのかどうか考えてみましょう。

お金を使って選挙に当選した候補者が次に何を考えるか。

恐らく10人のうち10人が「元を取ろう」と考えるのではないでしょうか。

市長や議員の報酬は、月給、ボーナス、退職金まで全て条例で決められていますから、それ以上の「元を取ろう」とすれば、何かの許認可を下した業者に見返りを求めたり、公共事業を請け負った業者からキックバックを受けたりといった「汚職」に手を染めることになります。

実際に山武市合併前の旧成東町では、平成2年にゴルフ場開発の許認可を巡って1億円の収賄で町長と議長が逮捕されるという事件も発生しています。

平成3年警察白書

平成2年といえば、ピークを過ぎたとはいえ今と比べればバブルまっただ中の、ゴルフ場さえ作れば会員権の販売で大きな利益を得られた時代だったので、この様な巨額の賄賂を企業側も用意出来たのでしょう。実際にバラまかれたお金は7億円近かったのではないかとも言われていますが、民主党政権時代から比べれば大分景気は回復したとはいえ、この様なバブル期の民間事業はあまり期待できません。すると、必然的に原資は公共事業からということになります。

政治家が事業費の数パーセントを懐に入れたいばかりに不要なハコモノ建設に走ったりすれば、その後の地方債の償還や維持費など、将来に渡る財政負担を強いられることになります。

決して汚職があるという話ではありませんが、山武市の不要なハコモノの例として、1年で直売所が閉店してその後全く活用されていない松尾にぎわい処が参考になると思います。

【山武市松尾地域賑わい創出事業】松尾にぎわい処直売所が1年で閉店【松尾洗心館】

この様な無駄遣いの原資は、結局私たちが納める税金です。

一杯ご馳走になって軽い気持ちで投じた一票のツケは、巡り巡って税金の無駄遣いという形で私たちが将来にわたって支払わなければならないのです。

4月15日の投票日には、くれぐれも政策本位で有権者の皆さんの投票を心からお願い申し上げます。

最後に、「あの時お土産をもらったのは、またはご馳走してもらったのは、もしかしたらいけないことだった?」と、少しでも心当たりのある方は、何よりあなた自身が犯罪者となってしまうことのないよう、まずは警察にご相談されることをお勧めします。

千葉県警選挙違反通報窓口