【院政か?】椎名前市長の有料講演会に、現職市職員8名が合唱で参加

【院政か?】椎名前市長の有料講演会に、現職市職員8名が合唱で参加

平成30年4月に任期満了により退任した椎名前山武市長の有料講演会に、現職の市職員8名が合唱で参加していたことが確認された。

講演会が開催されたのは椎名前市長退任後の平成30年5月12日、大網白里市の(株)大里綜合管理で定期的に行われている「ねっと99夢フォーラム」で、チケット料は1500円だった。

退任した前市長がそのような講演会を行うのは自由だが、そこに現職市職員が揃いのユニフォームを着て参加したとなれば、様々な問題点を指摘せざるを得ない。

公務員の営利活動

「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という憲法の定めを持ち出すまでもなく、公務員の副業は禁止されている。地方公務員においては地方公務員法第38条に以下の通り定められている。

(営利企業等の従事制限)
第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない

この条文を見る限り、報酬を得なければ何らかの事業若しくは事務に従事するのは可能との解釈も可能であるが、公務員が家業や知人・友人の手伝いなどで何らかの業務に就く必要がある場合は事前に届出て許可を得るのが一般的である。

主催者のウェブサイトなどを見る限り、参加した職員は明らかに揃いのユニフォームを着用し、譜面も用意されていることから、事前に準備した上でこの講演会で合唱を披露したと見るのが自然である。また、通常人前で複数で何らかのパフォーマンスを実施するには、リハーサルなどを行うのが必至と思われる。

ウェブサイトでの記述からも、この合唱がこの有料講演会の重要な構成要素の一つであったと見て取れる。

これに対して山武市役所は、

「当日は『合唱団』に所属している8名の職員が参加費を支払って参加しており、たまたま歌を歌っただけ。報酬も受け取っていないので、営利活動に従事したとは解釈できない。従って、届出や許可は行われていない」

と回答した。

そうであれば、市職員は今後も椎名前市長またはこの講演会の主催者が行う何らかの営利活動に参加することについて何ら問題がないということになるが、その点について今後も職員のこの様な活動を認めるかについて、松下新市長は「ノーコメント」とした。

 

椎名前市長による「院政」体制?

松下新山武市長は平成30年4月に誕生したが、平成30年度の予算は椎名前市長時代に決められたものなので、翌年の3月までは実質的に市政は前市長の亡霊によって運営されていると見ることも出来る。それは地方自治体の仕組みの上である程度仕方のないことかもしれないが、市職員までもがこの様に依然として前市長に付き従っているともなれば、山武市は市長が変わっても前市長の「院政」が敷かれているといわれても否定出来ないのではないだろうか。

言うまでもなく民主政治のしくみでは市長は選挙で選ばれるものであり、それ以外の者が市政の実権を握るような事態は許されるものではない。

市長選挙の際に松下市長は「全ての施策は人口減少対策のために」という方針を示したが、当選後に具体的な人口減少対策はこれまで打ち出されていない。また、「一旦立ち止まって考える」とした小中学校統廃合問題についても、今のところ前市長時代に作られた計画の見直しや一時凍結などの措置は取られていない。

市職員は椎名前市長の院政について否定して入るものの、現在の山武市の実情をみればその誹りを受けても仕方のない状況ではないだろうか。

 

講演会主催者「大里綜合管理」と椎名前市長との蜜月関係

この講演会の実質的な主催者は、大網白里市で不動産管理等を手がける大里綜合管理(株)である。椎名前市長の現職時代から山武市と社長のT氏は大変な蜜月関係にある。

山武市内で年に数回、「ぐるっと山武50kmウォーク」というイベントが実施されている。参加費3000円で文字通り山武市内の決められたコースを歩くイベントであるが、山武市役所を始め山武市の公共施設がスタート地点や中継点に提供されているだけでなく、コースの線引きや会場準備などに山武市職員が公務として毎回参加している。

このイベントの実質的な主催者は大里綜合管理である。

そのようなイベントに公共施設の使用を許可するだけでも異例であるが、さらに準備作業にまで職員を公務として動員していることは、「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めた日本国憲法第15条に違反している疑いがある。

また、大里綜合管理の代表者であるT氏は、山武市が運営費を負担する前提で設立された複数の「官製NPO法人」の理事に名前を連ねている。

その内の一つ「山武のブランドを創出」するという名目で平成22年に設立された、米粉の製造・販売を行う「NPO法人さんさん味工房」は、旧蓮沼村の給食センター跡地を専有し、山武市の負担で製粉機などの設備を揃え、市からの年400万円程度の助成金の他に千葉県からも数百万円の緊急雇用対策補助金を受け続けながら、「ブランド創出」という目的達成には程遠い運営を続けていた。このNPOにこれまで山武市と千葉県から拠出された助成金は、数千万円から億に近い金額と考えられる。

本来そのようなNPOの理事を再び別のNPO理事に起用することは常識的に考えられないが、T氏は平成29年にやはり山武市が運営費を負担する前提の官製NPOでる「NPO法人教育サポートGAA」の理事に起用された。

山武市教育委員会によれば、このNPO法人は教諭の授業以外の公務負担を軽減するために設立された物であるととのことで、T氏以外の理事は市内小中高の元校長経験者や元教育行政担当者などによって構成されているが、この中に草刈業務などを手がける一般企業の代表者であるT氏が入っていることは大変不自然である。

 

ボランティア活動家のもう一つの顔

平成26年3月に、やはり大里綜合管理が実質的に主催する「あれから5年わたしたちは何を学んだか」という集会が、東金文化会館で開催された。

これはその際に配布されていたチラシだ。

スキャンのサムネイル

15:00からのコンサートの演者「山武市ミードルズ」とは、山武市役所職員による合唱団で、現職時代の椎名前市長も参加していた。実際に、このイベントには椎名前市長と中野元副市長がステージ上で合唱を披露していたことが確認されている。

問題はこの集会の中身であるが、メインは「日本と原発 4年後」という映画の上映会であるが、この映画は河合弘之という弁護士が社民党の福島瑞穂氏の夫である海渡雄一弁護士らとともの制作したものであり、河合氏は浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表、脱原発弁護団全国連絡会共同代表などを務める反原発活動家のリーダーである。

この映画については河合氏自身がインタビューで「この映画は芸術作品ではない。原発推進派に勝つための訴状です」と述べている通り、反原発派の主張を一方的にまとまたプロパガンダ映画である。

また、T氏が元日本共産党公認候補として国政選挙に複数回立候補経験があり、現在東金で反原発運動を行っている実兄K氏に、このイベントに500人の動員を依頼していたことが、K氏のSNSの書き込みで確認できる。

 

また、平成27年にテレビ東京系「カンブリア宮殿」で大里綜合管理は「驚くほど地域活動を行う不動産会社」という切り口で紹介されたが、その番組の中にもT氏の政治的背景が見え隠れしていた。

番組内で大里綜合管理社屋でうたごえ広場というイベントが開催されたことが紹介されていたが、このイベントの際にT氏が「ともしびの皆さんに大きな拍手を」と紹介した「ともしび」という歌声喫茶では、「革命歌・労働歌だけのうたごえ喫茶」といった企画が今でも組まれており、ロシア革命後のソビエト連邦の国歌の「インターナショナル」も歌われている。

さたに、番組に登場したT氏の実母が日本共産党中央委員会に対して少なくとも10年以上に渡って10万円〜20万円の献金を続けていたことも官報で確認できた。

これらの事から、T氏はカンブリア宮殿で紹介されたボランティア活動家という表の顔の他に、党派性を隠した左派活動家としての裏の顔を持っていることが分かる。実母、実兄ともども日本共産党との関わりが確認できることから、T氏自身も日本共産党か、共産主義的思想に強いシンパシーを持っている可能性が高いと考えられる。

 

地方自治体と公務員の政治的中立

T氏がどの様な政治思想を持っていてもそれ自体は何の問題もない。しかし、表向きそれを隠して実質的には特定の政治思想に基づく集会を企画し、自治体や教育委員会などの後援を受けて本来そのような政治的志向を持たない一般の市民を動員する行為については看過できるものではない。

また、後援を出す自治体も、事務的な書類上の申請で許可するだけでなく、実際の内容が政治的に偏ったものでないか、特定政党の主張を一方的に扱うものでないか、カンパや署名活動が行われていないかなどを確認し、そのような事実があれば以後の後援の許可しないといった措置に加え、事後であっても広報やウェブサイトなどを通じで後援取り消しをその理由とともに周知するといった措置を検討する必要がるのではないか。

とりわけ日本共産党については、現在でも破壊活動防止法に基づく公安調査庁の調査対象団体である。たとえ主催者名が日本共産党でなくても、彼らは「◯◯の会」「◯◯実行委員会」など様々な名前を使い分けて活動しており、そのような集会に不用意に自治体が後援したことで一般市民が知らず知らず参加し、場合によっては不本意に署名活動に協力させられたり、最悪の場合は無関係な市民が公安調査庁にマークされてしまう様な事態も想定される。それだけでなく、学生が不用意にそのような活動に参加したことをSNSにアップしてしまい、それを企業の人事部に見られれば、就職活動に致命的なマイナスとなることも十分にあり得る。そうなった時、後援を出した自治体の責任は重大だ。

山武市の場合は椎名前市長がそのような人物、団体をむしろ積極的に優遇していた節があるが、今後この様な状況がどう改善されるか松下新市長の判断と手腕に大いに期待するものである。もし今後も状況が改善されなければ、山武市は「椎名前市長の院政」との誹りを免れることは出来ないだろう。