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スリランカ人1,000人超えの山武市の未来はどうなる?

スリランカ人1,000人超えの山武市の未来はどうなる?

山武市、スリランカ人1,000人越え 外国人全体で2,000人超え

山武市のスリランカ人住人が1,000人を超え、2024年(令和6年)11月30日現在で1,048人となった。

初めて1,000人を超えたのは前月10月31日現在の1,004人で、この1ヶ月で44人増加している。

外国人全体でも10月31日付調査票で2,000人を超え2,028人となり、11月30日現在では2,044人となっている。山武市のウェブサイトで確認できる最古の記録である2012年(平成24年)8月の653人から1,391人増加した。構成比でも1.16%から4.47%まで増加しており、日本全体の外国人構成比2.90%と比較して高い水準となっている。(日本全体の人口は総務省統計局出入国在留管理庁の最新の発表を元に算出)

山武市の国別の内訳は、前述のスリランカ人が1,048人(構成比51.3%)と断トツで、次に多いのがベトナム人の211人、次いで100人を超えているのが中国人178人、フィリピン人136人、タイ人124人となっている。日本全体でのスリランカ人は12位で、構成比が1.6%(出展:出入国管理庁)であることを鑑みれば、山武市のスリランカ人住民の割合がいかに突出しているかがわかる。

外国人のうちスリランカ人だけが突出することで、山武市に今後どのような問題が待ち受けているかはわからないが、以下に特定の外国人が集中している地域の例を挙げてみよう。

「リトルブラジル」群馬県大泉町

特定の外国人住民が突出していることで有名なのが、群馬県大泉町だ。群馬県の南部に位置する大泉町は、日本最大のブラジル人コミュニティが居住する地域として知られ「リトルブラジル」の異名で呼ばれている。

自動車、家電、食品の大手メーカーなどの工場が集まる大泉町では、1980年代の高度成長期に工場労働者を確保するため、南米の日系人子孫を積極的に雇用した。現在、技能実習制度や特定技能制度など、日本で外国人が働くための制度が整えられているが、かつては外国人の単純労働は認められなかった。しかし、明治以降の日本政府による移民政策で移住していった日本人の子孫については例外とされていた。

その後、バブル崩壊、リーマンショックを経て、ブラジル人労働者の大多数は解雇されたが、彼らは大泉町に残り大規模なコミュニティを形成した。イベントやグルメといった異国文化は、大泉町の観光資源にもなっている。

現在大泉町の人口の約20%をブラジル人が占めているが、日本語の堪能な居住歴の長い住民とその子世代がいる一方、ほとんど日本語を理解できないニューカマーとその子供もおり、大泉町では外国人の子弟のために全ての小中学校に日本語教室を設置している。また、生活習慣の違いからの住民とのトラブルといった日常生活、税の滞納や生活保護の増加で自治体の財政が圧迫されているという。

しかし、後述する川口市の例などと比較すると、大泉町は様々な問題を抱えながらも外国人との健全な共存・共栄の道を進んでいるように思える。

クルド人はかわいそうな難民か? 埼玉県川口市

埼玉県川口市では、1990年代以降トルコから移住してきたクルド人コミュニティが形成され、地元住民との間でさまざまな摩擦が生じている。特にゴミの出し方や公園の使用方法、交通マナーなどの日常生活における習慣の違いから、地域社会との軋轢が報告されている。

2023年7月にはクルド人同士のトラブルがエスカレートし、病院前に約100人が集まる騒動に発展した。この影響で、病院の救急搬送が一時停止する事態となり、市民生活に大きな影響を与えた。

川口市のクルド人の多くは、難民申請により特定活動の在留資格を得て解体業などに従事している。難民とは本来、戦争、迫害、紛争、暴力などで母国を離れることを余儀なくされた人々を指す。クルド人はトルコの少数民族であることから、いかにも本国で迫害されているかのようなイメージが先行する嫌いがあるが、産経新聞の現地取材で現地トルコで迫害を受けている事実はなく、出稼ぎ目的で特定活動の資格を得るための方便として難民申請を行い、農繁期になると帰国していく実態が明るみとなり、国会でも取り上げられる事態となっている。

クルド人による犯罪行為・迷惑行為も後を絶たない。女子中学生に対する性的暴行で執行猶予中のクルド人が12歳の少女を性暴行した事件は記憶に新しいが、暴走運転、超過積載の解体トラック、公園のトイレ破壊など、ネット上を検索すればいくらでも確認できる。

また、在日クルド人を対象とする文化継承の支援、多文化共生を目指す取り組み、クルド文化の紹介、クルド民族への教育と礼儀作法の指導、日本語とクルド語の語学教育などを目的として設立されたと自称する「一般社団法人日本クルド文化協会」は、テロ組織「クルド労働者党(PKK)」に資金提供を行なったことで、代表理事らとともにトルコ国内で資産凍結されている。

山武市の未来は大泉町か?川口市か?

今後も山武市にスリランカ人が増え続けるとしたら、未来の姿は大泉町なのか。あるいは川口市なのか。

自治体の規模は大泉町が人口4.1万人、予算162億円。川口市が人口61万人、予算2,554億円。自治体の規模としては大泉町の方が山武市に圧倒的に近い。

大泉町のブラジル人は日系人の子孫なので、「定住者」というビザを申請できる。定住者であれば基本的に就労に対する制限はない。

これは筆者の個人的な意見だが、日系人は元々同胞だ。明治から昭和にかけて日本政府は南米への移民を推奨し、多くの日本人が成功を夢見て海を渡り、苦労をしながら成功した者も多い。しかし、この移民政策は貧しかった当時の日本にとって、相続が認められない農家の次男坊三男坊といった人々を体良く棄民したという側面も否定できない。そういった人々の子孫を今の我々が受け入れ、共生を目指すのは人の道というものではないだろうか。

一方川口市のクルド人は、産経新聞の報道にもあるように難民申請中に認められる「特定活動」ビザである。これは難民申請手続き中の生計のために就労を認めるもので、本来出稼ぎのためのものではない。彼らは日本の難民認定制度を悪用することを前提に来日している。

 川口のクルド人が交通ルールを破り、非行に走るのも、そもそも日本に来る前提に嘘と悪意があるからのような気がしてならない。

では、山武市のスリランカ人はどちらなのか。残念ながら後者の方だ。

2023年(令和5年)の難民申請者を国別にみると、スリランカが1位で3,778人。前年の502人から7倍以上の伸びだ。全申請者数13,823人の内に占める割合は27.3%に上る。

難民申請者数は2017年(平成29年)の19,629人をピークに一旦減少に転じた。

出典:出入国在留管理庁HP

これは同年、申請時に本来の意味での難民の可能性が高い者とそうでないものを振り分け、明らかに難民条約上の迫害事由に当たらない申請者に対して在留を不許可にするなど、難民認定制度の運用が見直されたためと考えられる。その結果2021年(令和3年)には2,413人とおよそ4分の1まで減少したが、コロナ禍が開け再び増加に転じ、再び1万人を突破した。2021年(令和3年)当時山武市ではスリランカ人は400人台、外国人全体で1,200人台後半だったので、ここ3年でほぼ倍増といったところだ。

川口市のクルド人と山武市のスリランカ人の共通点は、日本の難民制度を悪用して日本での出稼ぎという自分たちの目的を果たそうとしているところで、これは大泉町の日系ブラジル人との決定的な違いだ。

クルド人は人口60万人を超える川口市の中で1,504人(統計では「トルコ人」)。構成比では僅か0.25%でしかないが、それだけの人数が集まれば市民病院を取り囲んで救急を5時間麻痺させることもできる。非行や違法行為が社会問題となり国会でも取り上げられる事態にもなっている。

山武市のスリランカ人も、ここ1年間の増加ペースを続ければ2年で川口市のクルド人と同じ規模に到達することになる。

入管難民法改正で事態は変化するかの?

本年(2024年)6月、入管難民法が改正された。

ポイントはこれまで難民申請で却下されても無制限で再審査を申請できたが、実質的に2回までとなったことだ。これにより、難民申請手続きを繰り返し行うことでその間に日本での就労を続けることが法律上不可能となった。出入国管理局の負担も今後軽減されることになるため、難民申請で就労可能な期間は長くとも2年程度になることが予想される。

しかし、2017年(平成29年)の制度改正で急減した難民申請が再び急増したことからも、この法改正によって外国人の流入を効果的に抑制できるかどうか、今後の動向を見守る必要がある。制度改正以降は、日本に法人を設立して取締役登記をし、経営・管理ビザを取得する手法に移行する動きもあったが、山武市内でも6月の法改正後も相変わらず難民申請で来日する外国人を多く確認している。

山武ジャーナルにおいても、制度改正を受けてスリランカ人が減少に転じて落ち着いたと2018年の記事で報じているが、その後6年間で4倍増したのが現実だ。

スリランカでは国内の政情不安を受け、日本に限らず海外で働きたいというニーズが大変高いと聞く。海外に出稼ぎに行くためにはあっせんブローカーに依頼する例が多いようだが、日本に行くためにブローカーに払う金額が他国に比べて比較的安いというのがスリランカ人の間で日本が人気の理由のひとつだという。

山武市におけるスリランカ人との共生の形はどうなる?

今後日本の入管難民制度がどうなるか、スリランカの国状がどうなるか、あるいは日本が外国人労働者にとって魅力ある国であり続けるかわからないが、山武市には1,000人を超えるスリランカ人が暮らしているのは現実だ。資格外活動やオーバーステイなどの違法行為を行わない限り、私たち日本人が平穏に暮らしていくためにも、好むと好まざるとにかかわらず共生の道を進むしかない。

「多文化共生」などと耳障りの良い言葉もあるが、お互いに相手のあることで、それが生まれも育った環境も全く異なる外国人同士となれば、実際には簡単なことではない。

山武市では前市長と財務省から出向してきた当時の副市長が、東京オリンピック関連の予算獲得のために始めたスリランカとの交流だが、山武市が行ってきた施策は全てが表面的に取り繕うだけの綺麗事だったのではないか。

今の天皇陛下が内外に即位を宣明する「即位礼正殿の儀」が行われた2019年(令和元年)10月22日の、新天皇陛下の即位を祝うために制定された特別な国民の祝日に、「インターナショナルフェスティバル in Sammu」を開催しようとした「さんむグローバルセンター」は、今では活動が確認できない。おそらく公金が投入されたであろう多言語対応のウェブサイトも消えている。

 川口市の隣の蕨市もクルド人の多い地域として知られているが、蕨駅前で行われた日本クルド文化協会がテロ組織に資金提供していることに抗議する日本人のデモに対して、クルド人が「日本人○ネ、日本人シ○、精神病院に行け」と叫ぶ動画がSNSに拡散された。

 日本クルド文化協会は「『日本人○ネ』とはいっていない」と否定したが、その言い分を受け入れるかどうかは動画を観た読者の判断に任せることにする。しかし、相手が内心「日本人シ○」と思っているとするなら、そのような相手との共生など可能なのだろうか。

川口市のクルド人と山武市のスリランカ人が同じなどというつもりはないが、仮に山武市民の日本人がスリランカ人との共生を求めたとしても、相手も同じように考えるとは限らない。山武市が再びさんむグローバルセンターのような組織を立ち上げたとしても、おそらく結果は同じだろう。

異なる言語や文化の外国人との共生は、左翼的理想論で片付けられるほど単純ではない。スリランカ人との共生の形を模索してゆくのは、今やすべての山武市民の課題と自覚する必要があるのではないだろうか。

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