齋藤昌秀山武市議、同僚議員の領収書で政務活動費を着服

齋藤昌秀山武市議、同僚議員の領収書で政務活動費を着服

齋藤昌秀山武市議が政務活動費で私物PCのパーツを購入していた問題について、会派市政会の出納責任者である玉美津恵市議に事情を聞いたところ、齋藤昌秀市議の信じ難い言動と実態が明らかとなった。

 

山武ジャーナルの取材に応じる玉置美津恵山武市議

山武ジャーナル(以下SJ)「最終的に収支報告書をまとめて提出したのは、出納責任者の玉置議員だと思いますが、齋藤議員の領収書を見た時点で、SSDがどういうもので、どの様な使い方をするのかといった事は確認しなかったのですか?」

玉置「その前に、先ほどある新聞社の記者の方から『政務活動費のことについて聞きたい』と取材を受けました。実は、今回の政務活動費については大変問題がありますので、経緯を説明させて下さい」

SJ「では、まず玉置議員のお話から伺いましょう」

玉置「他の会派の皆さんは、主に視察研修など会派全体での活動に政務活動費を当てる事が多いようですが、私たちの会派は齋藤議員と私の二人だけで、一緒に視察旅行という訳にはいきませんので、年初に議員2名1年分の政務活動費330,000円が振り込まれた時に、半分の165,000円ずつ預かってお互いにその範囲を超えたら自腹という事になりました。

私は当選したばかりで右も左もわからない状態ですから、とにかく勉強しようと、地方自治に関する書籍を購入したり、都内で開催される研修や講演に参加しました。書籍代や研修費とそれに伴う交通費は政務活動費ですので、支給額を超えた分も収支報告書に記載すべきものと思って全て領収書と共に記録していました」

SJ「玉置議員の会派からの割り当ては165,000円との事ですが、それを超えた分は自腹で負担していた訳ですね?」

玉置「その通りです。それに、持ち帰った研修テキストなどは、齋藤議員に勉強するようお勧めしたりもしていました。齋藤議員はあまり関心がないようで、『いらない』と言われましたが」

SJ「で、どのような問題があったのですか?」

玉置「年度末に近づくと、議会事務局からチェックしなければならないので収支報告書は早めに提出するよう言われ、私は3月24日に齋藤議員に領収書を提出するよう連絡すると、齋藤議員は『27日に行きます』との返答でした」

SJ「SSDの購入日が3月26日ですから、齋藤議員は玉置議員からその話があった後に、アマゾンでSSDを購入したことになりますね」

玉置「はい。でも、それは後から分かったことでした。私は27日に齋藤議員から領収書を預かれるものと思っていましたが、当日齋藤議員は何の用意もしていませんでした。仕方がないので、私が自分の政務活動費を記録していたファイルをUSBメモリーにコピーし、齋藤議員にはそのファイルに自分の収支をプラスして入力してもらうようお願いしました。

その後、齋藤議員は何度催促してもなかなかデータを戻してくれないので、議会事務局からも齋藤議員に連絡してもらい、ようやく4月27日に提出すると齋藤議員から議会事務局に連絡がありました。

私は会派の出納責任者としてその報告書を確認しなけれならないので、翌28日に議会事務局へ行ったのですが、齋藤議員から『新型コロナウイルスの影響で、税理士からの書類が遅れていて、提出は最終締切日の4月30日になる』と連絡が入った事を知らされました。
私は4月30日には別の予定があり、この時点で収支報告書の提出は齋藤議員に任せるしかない状況になっていました。

しかし、当日10時の予定がキャンセルとなったので、事務局へ行く事が出来ました。

収支報告書を提出しに来ていた齋藤議員からは、2点の備品を購入したことを聞かされました。私は以前齋藤議員から、沖縄へ行った時の経費や、区長会の旅行の経費を政務活動費に計上するという話を聞いていたので、それは出さないのか聞くと、『鈴木まさやさんに突っ込まれると思うので提出しませんでした。玉置さんがいっぱい使ってくれたので助かりました』と言われました」

SJ「それは大変光栄なお話です。その時齋藤議員が計上したと2点の備品のうちの一つが、今回山武ジャーナルが問題を指摘しているSSDだと思いますが、その時玉置議員はチェックしなかったのですか?」

玉置「この後すぐに提出しなければならなかった事もあり、言い訳にはなりませんがその場でチェックはしませんでした。

収支報告書はそのまま一旦提出しましたが、議会事務局のチェックで項目が違うなどの指摘を受け、修正が必要になりました。私は次の予定が迫っていたため、後は齋藤議員にお任せしました」

SJ「山武市のHPに公開されている市政会の収支報告書の支払伝票には、墨塗りになっていますが全て会派長の齋藤議員と、出納責任者の玉置議員の印鑑がありますが、チェックしないで印鑑を押したのですか?」

玉置「私は一つも印鑑を押していないんです」

SJ「では誰が押したんですか?」

玉置「それは分かりません」

SJ「齋藤議員が押したんですか?」

玉置「それも分かりません」

SJ「結果的に会派に支給された330,000円の政務活動費の内、玉置議員が一人で30万円近く使ったという内容になっていたのは認識されていたのですか?」

玉置「はい。それは分かっていました」

SJ「では、始めに半分ずつ配分していたそうですから、齋藤議員が使わなかった分は当然玉置議員に返したのですね?」

玉置「いえ、元々私の持ち分は165,000円だという頭がありましたので、その時は無事収支報告書を提出して全て完了したと思っていました。

でも、よくよく考えて見れば、齋藤議員は何もしていないのに12万円の政務活動費を自分の懐に入れた事になります。政務活動費は市民の皆さんから預かった大事なお金で、使わなかった分は山武市にお返しすべきものです。

私はこの状況を放置しておく訳には行かないと思い、私が計上した内、165,000円を超えた部分を取り下げて、齋藤議員が使用しなかった分は市に返還されるよう収支報告書を訂正させて頂くため、議会が始まる前日の6月1日に議会事務局に相談に行きました。

しかし、議会事務局は『報告書の内容そのものに瑕疵はないので、訂正の理由がない』とのことで、受け付けて頂けませんでした」

SJ「お話を聞く限り、私もそう思います」

玉置「でも、そうなると、齋藤議員は12万円の税金を、何もしないで自分の懐に入れてしまうことになります。2日に議会が始まると、私たちの会派の政務活動費が、私の支出ばかりに偏っていることについて、議長と副議長から事情を聞かれました。その際、齋藤議員は『玉置さんに会派代表として研修に行ってもらい、帰ってきてから私が話を聞いて勉強しているので、何の問題もありません』などと応えていました」

SJ「研修テキストはいらないんじゃなかったですか?」

玉置「良くもそんな出まかせが言えると、呆れて聞いていました。最後に副議長から『政務活動費の配分は適切に行なって下さい』と注意を受けたので、私は齋藤議員に『副議長が言っていたのは、使った人にお金を配分しなさいという事ではないの?」と聞きてみましたが、齋藤議員は『違いますよ。バランス良く使えという事ですよ』と、依然として懐に入れたお金を返そうとしませんでした。

この政務活動費の件も含め、他にも齋藤議員については問題があると思っていましたので、この日私は齋藤議員との会派を解消しました。

私はこのような状態を絶対にそのままには出来ないと考え、これまでの経緯を文書にまとめ、5日に議長と副議長に改めて説明し、齋藤議員が着服しているお金を返す気がないので、もう一度齋藤議員に話をして下さいとお願いしました。

副議長は『これは放置して良い問題では無いので、訂正に応じるべきだ』と議長に進言して下さいましたが、議長は「訂正すれば市の決算全体に影響するので大事になる。この通りの支払いがされれば円満解決」とおっしゃいました。

私は一旦退席し、入れ替わりで齋藤議員が呼び出されました。しばらくして私も呼ばれたのですが、その時齋藤議員は神妙な様子で『大変申し訳ありませんでした』と初めて私に謝罪しました。

副議長から『お金の話は会派室に戻ってして下さい』と言われ、会派室に戻ると、齋藤議員は自分で算出した89,957円を私に返金しました。

自宅に戻って私が計算すると、まだ31,162円不足していたことが分かったので、齋藤議員にその旨を伝えると、自宅の前まで届けに来てくれました。ただ、その時は議会でのあの神妙な様子が嘘のように、ケロッとしていました」

SJ「お金は戻ってきたようですが、玉置議員はこれで解決と考えていますか?」

玉置「いえ、何度も言いますが、政務活動費は市民の皆さんから預かった大事なお金です。例え最終的には返還したとはいえ、懐に入れてしまおうとしたのは紛れもない事実ですから、そのような行為は議員として許されないと思います」

SJ「私も玉置議員のお話を聞く限り、これは『横領が発覚したので渋々お金を戻した』という話なので、結果はどうあれ齋藤議員がお金を懐に入れてしまった事自体が問題だと思います。ただ、私としては出納責任者である玉置議員の責任も指摘せざるを得ませんよ」

玉置「それについては仰る通りです。1年生議員だからという言い訳も許されないと思います。齋藤議員から返して貰ったお金は、元々私が自腹で負担するつもりだったお金なので、今年度に政務活動費として使わせて頂き、その分今年度議会から支給される政務活動費を返上しようと考えています。それで私の今回の失態が許されるとは思いませんが、二度とこのような事がないよう反省し、今まで以上に市民の皆様のために働かせて頂きたいと思います」

SJ「本日はありがとうございました」

玉置「こちらこそ、話を聞いて頂きありがとうございました」

 

山武ジャーナルは元々、齋藤昌秀市議が年度末ギリギリに私物PCに使用する可能性の高いSSDを、政務活動費で購入したことが不適切である事を指摘したに過ぎなかったが、玉置市議の証言で、自分が使用していない政務活動費を着服したという、極めて重大な問題が発覚することとなった。

齋藤昌秀市議のこの行為を「横領」とみれば、たとえ返金したとしても無罪放免はあり得ない。

齋藤昌秀市議は、始めに山武ジャーナルが記事をアップした2日後の6月6日の午前中にようやく連絡があったものの、当方からの取材については「また連絡します」と言って電話を置いて以降の連絡はないが、今後本人を含め議会関係者に事情を聞き、厳しく追及していくものである。

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