令和4年4月17日執行の山武市長選挙、山武市議会議員補欠選挙で、新聞折込で配布された選挙公報の松尾・蓮沼地区での配布率が、世帯数の95%を超えていたことが山武ジャーナルの調べてわかった。
山武市松尾地区・蓮沼地区の世帯数は、令和2年の国勢調査でそれぞれ3,439世帯と1,319世帯の計4,758世帯。一方で同地区を配布エリアとする新聞販売店4店の総配布数は4,526部で、配布率は95.12%となる。
(一社)日本新聞協会が公表する令和3年の全国の新聞世帯購読率は57%で、年々3〜5%低下傾向にある中、松尾・蓮沼地区の95%超の配布率=新聞世帯購読率は明らかに異常で、水増し請求の疑いが極めて高いと考えられる。市選管に折込部数を取りまとめて申告したのは、齋藤まさひで山武市議会議員の実父である(有)齋藤ニュースサービスの齋藤逸朗代表。
市全体の配布状況は以下の通りである。
これを見ると、松尾・蓮沼地区と山武地区の購読率が全国平均と比較して異常に高いことだけでなく、同じ山武市内にも関わらず成東地区と松尾・蓮沼地区の新聞購読率が35%以上も違うなど不自然な点が目立つ。
通常新聞折込は、新聞販売店に直接持ち込むか、広告代理店に依頼するものであるが、山武市の場合はYC成東を運営する(有)齋藤ニュースサービス代表の齋藤逸朗氏が結成した「山武市新聞折込組合」に、市内すべての折込を一括で発注する特殊な契約形態が取られている。
このような契約形態の下、広報紙の折込部数が一時世帯数を上回るなど、長年の水増し請求が疑われたことから、山武市は令和3年より広報紙と議会だよりの新聞折込を廃止して、シルバー人材センターによる全戸配布に切り換えているが、選挙公報だけは「限られた日数の中で他に変わる配布方法がない」とのことで新聞折込による配布が継続されている。
山武市から広報紙の折込を廃止されて1年経っても、山武市新聞折込組合の体質は一向に改善されていない。
山武市新聞折込組合の代表が、現職山武市議会議員齋藤まさひで氏の実父であることは前述した通りである。
齋藤まさひで議員は4年前の山武市長選挙の際、今回も再選を果たした松下浩明市長に対抗して出馬した小川一馬候補と組んで市議補欠選挙に立候補し、「市長は小川、補選は齋藤」と選挙カーで山武市内を回っていたのは記憶に新しいが、今回の山武市長選挙では、4年前に敵対していた松下浩明市長の出陣式で司会を務めた。
齋藤まさひで議員は、他人の領収書を利用して議員政務活動費を自分のものにしようとして、令和2年7月の山武市議会臨時会において全会一致で問責決議を受けているが、そのような議員を自身の出陣式の司会に任せた上、実父齋藤逸朗氏による度重なる水増し請求を放置するのであれば、松下市長による市政運営の信頼性を著しく損ねることは明らか。
配っていない新聞を「配った」として折込料を得ることは、一般的に詐欺行為に当たる。
山武市と松下市長には、たとえ現職市議会議員の家族であろうとも、このような不正を疑われる請求について厳しく精査し、不正があれば返金を求めたり、場合によっては刑事告発などの厳格な対応が求められる。