山武市議会議員長谷部竜作氏(公明党)は令和3年4月5日、自身のインスタグラムに次のような書き込みをアップした。
大切な情報が多く掲載されている「広報さんむ」が市内全世帯に配布される様になりました。
昨年6月、公明党が「一般質問に代わる緊急要望書」でお願いした全戸配布が、皆様のおかげで実現とされました。ありがとうございます。
5月には議会だよりも併せて配布されますので、是非お読み下さい。
長谷部竜作氏インスタグラムより引用
山武市の広報紙新聞折込水増し問題については、これまで山武ジャーナルで伝えてきた通りで、令和3年4月発行の「広報さんむ」よりシルバー人材センターによる全戸ポスティングに変更された。
長谷部竜作議員は、これを公明党の功績であるかの様な書き込みをしていたため、ここで事実関係を検証してみたい。
長谷部議員が示した「一般質問に代わる緊急要望書」なる書面は、長谷部議員のウェブサイトにアップされていたので、ここに転載する。
令和2年6月26日付のこの要望書の中で、広報紙については以下の通り記述されていた。
【広報誌の全戸配布について】
新聞折り込みによる市の広報誌やビラ等の配布について、新聞購読者が減少していることから、新たな配布方法検討すべきである。
〇 タウンプラス等による全戸配布を検討する事(原文ママ)
長谷部議員のインスタグラムには「公明党が『一般質問に代わる緊急要望書』でお願いした全戸配布が」と記述されているが、実際にこの要望書を読むと、公明党が要望していたのは「新聞折込に変わる新たな配布方法の検討」であったことがわかる。
「全戸配布」には触れているものの、この文脈ではあくまで「主たる要望」は「新たな配布方法の検討」であり、全戸配布は付帯事項に過ぎない。
仮に、「タウンプラス等による全戸配布を検討する事」の部分が要望の趣旨だと主張したとしても、山武市はシルバー人材センターによるポスティングを実施しており、何れにしても公明党の提案した「タウンプラス」は採用されていないので、これをもって広報さんむの全戸配布を「公明党の功績」とするのもかなり無理がある主張だ。
更に言えば、山武ジャーナルは公明党がこの要望書を提出した6月26日の、13日前にあたる6月13日に、
【独占スクープ】これが新聞残紙の実態だ!! 読売センター成東実録レポート
と言う記事をアップしている。
山武ジャーナルはこの中で、新聞折込に代わる新たな広報の配布方法として、
1.区長回覧による配付
2.郵便局の「タウンプラス」で市内全住所に郵送
3.シルバー人材センターによるポスティング
4.スマートフォンアプリや市のWEBサイトの活用
などを提唱している。
また、取材の中で、当時すでに市の中枢部ではシルバー人材センターによる全戸ポスティングという手段が、具体的に検討されていた事も確認しており、公明党が要望書を提出した6月26日時点で、すでに水面下で山武市の広報紙全戸配布の方針は既定路線となっていた。
山武市が極めて信頼性が疑わしい新聞折込による広報紙の配付を止め、シルバー人材センターによる全戸ポスティングに切り替えたのは、高く評価できる事に異論はない。
また、山武ジャーナルが読売センター成東=齋藤ニュースサービスの、配達されない「残紙」の存在を指摘した事が、その切っ掛けの一つになったと言う自負もある。
しかしながら、山武ジャーナルはこれをもって、山武市の広報紙全戸配布を「自らの功績」と吹聴するのは、愚の骨頂と考えている。
なぜなら、山武市が合併以来継続してきた広報紙の新聞折込を止め、近隣自治体などにも例を見ないシルバー人材センターによる全戸ポスティングを実現するために、多くの人々の尽力があった事が想像に難くないからである。
前市長の学歴詐称問題を追及した事で、一部で反体制メディアと目されている山武ジャーナルの告発を真摯に受け止め、新聞折込中止の方針を示したであろう松下市長を始め、シルバー人材センターによる全戸配布という前例のない配布方法を立案した担当部署、新聞折込組合長齋藤逸朗氏の長男である齋藤昌秀議員を抱えながらも市の政策を支持した議会、市の要望に対して具体的なオペレーションや人材確保に奔走したシルバー人材センター、実際に一軒一軒回って広報を配付するシルバー人材センターの会員諸兄。
山武市の広報紙全戸配布が実現したのは、これら全ての人々の功績である。
ポスティングに係る予算案に賛成した公明党議員にも一定の功績がある事は否定しないが、だからと言ってこれが「公明党の功績」であると言うなら、「山武市が行った良い政策は全て公明党の功績」と言う論法を認めてしまう事になり兼ねず、それは広報紙全戸配布実現のために尽力した、これら全ての人々の功績の否定に繋がる極めて筋の悪い論法と指摘せざるを得ない。
部下や同僚の功績を、「自分がやった」と横取りするタイプの人間はどこの職場にもいるが、その様な行為はインターネット上で「アレオレ詐欺」などと揶揄されている。
この公明党の要望書に政策実現のため一定の影響力があったとしても、それをもってあたかもこれが公明党の功績であるかのように誇示する長谷部議員の書き込みは、他人の成果をさも自分の物であるかのように吹聴する「アレオレ詐欺」との誹りを免れないのではないだろうか。