山武ジャーナル

山武市のスリランカ人住民、なお増加。偽装難民が移民になる日。

令和元年9月末現在、山武市のスリランカ人住民が347人になっていたことが山武ジャーナルの調べで分かった。山武ジャーナルが最後に調査した平成30年6月末現在の253人から94人増加している。

山武市の外国人国籍別集計(令和元年9月末日現在)
国籍 男(人) 女(人) 合計(人) 外国人全体に対する割合
スリランカ 275 72 347 29.8%
ベトナム 150 159 13.6%
中国 69 70 139 11.9%
フィリピン 33 104 137 11.8%
タイ 27 87 114 9.8%
その他 110 149 296 25.4%
664 491 1165

山武市に増加したスリランカ人のほとんどが、就労を目的に日本の難民認定制度を悪用する「偽装難民」であることはこれまでに報じた通りである。また、平成30年から就労可能となる6ヶ月後より早く難民認定審査が終了するよう迅速化が図られたため、山武市のスリランカ人住民の増加には歯止めがかかった可能性についても指摘したが、結果としてはそれからもさらに増加している。

偽装難民が移民になる日

平成30年に入管難民法が改正され、特定1号、2号といった新たな外国人の就労資格が創設されたものの、依然として日本で外国人が就労するにはそれなりのハードルを超えなければならない。しかし、山武市でおよそ外国人に就労資格が得られようはずもない中古車買取・解体業に従事するスリランカ人を多数見かける。なぜこの様な状況になっているのか、山武ジャーナルではこれまでその仕組みについて、教唆になることを配慮して詳述してこなかった。しかしながら、入管法改正の一方で入国管理局が出入国管理庁に昇格し、本格的に偽装難民対策が進めらるようになって来たため、彼らがどの様に日本に来ているのか、その方法を紹介したい。

まず、観光や知人の訪問といった目的の短期滞在ビザを取得する。短期滞在ビザといえば大体15日、30日、90日だが、90日の申請となると別の目的があるのではないかと勘ぐられ許可が得られない場合があるので、15日かせいぜい30日の滞在資格で、もちろんその間にアルバイトなどは認められない。そして、飛行機に乗って「一般の旅行者として」日本に入国する。

日本に入国後、次に彼らは入国管理局(現在は出入国管理庁)で「難民申請」を行う。

「難民」とは、人種差別や政治や宗教的に弾圧を受けたり、災害や戦禍で自国で暮らしていくことが困難な人々のことで、難民条約に批准している日本は、この様な人々を保護する義務を負っている。したがって、入管はどんな外国人であっても「難民」として保護を求められれば、本当に保護しなければならない「難民」であるかどうか、まずは審査をすることになる。

この時点で15日間の短期滞在で来日した外国人は「難民認定審査中の外国人」となり、審査中は日本での滞在が認められる。

制度が改められる平成30年以前は、この審査に1年以上を要していた。

審査中は入管からの呼び出しに速やかに応じられる場所であれば自由に居住でき、6ヶ月以降は就労も可能になる。

そういった意味では東京まで電車で1時間少々で行かれる上に成田空港へも近く、駅まで徒歩圏で家賃が2万円台のアパートなどがあるJR日向駅周辺などは格好の条件といえるだろう。

難民申請中の就労が認められれば、彼らはどの様な仕事でもすることが出来る。通常の就労ビザでは、認められた業務外の仕事は認められない。例えば、中華料理の調理師のビザでインド料理の調理師として仕事をすれば資格外活動となり、国外退去などの処分を受ける可能性もある。しかし、難民申請中の外国人にはこの様な縛りはないので、どんな仕事につくのも自由だ。

これで、しばらく彼らは日本で中古車買取業などの仕事に就くことが出来るようになる。

しかし、これでは1年もすれば審査が終了し、そもそも保護すべき難民でも何でもない彼らが難民として認定される訳もない。

そこで、彼らがその後も日本で就労を続けるためには、主に2つの選択肢がある。

一つは、入管に異議申立てをして、審査を継続させること。そうすればまたその間自由に日本での就労が可能だ。

もう一つは、日本で会社を設立すること。会社設立のハードルは非常に低い。特に平成18年の会社法施行によって新たに出来た「合同会社」=LLCであれば、設立時の費用もかなり低額に抑えることが出来る。

日本の法人の取締役となった瞬間、彼らは就労ビザの1種である「経営・管理」ビザの申請資格を得られるのである。

恐らく初回の申請で認められるのは1年間であるが、その間に非行や違法行為がなく、何度か更新を続けることで3年、5年となっていく。

この方法は、海外の会社の日本支社を作るという手法でも可能である。

これで彼らは偽装難民から合法的な「移民」となる。

前述の通り、法改正やルールの見直しなど偽装難民対策が進んでおり、現在は新規で偽装難民の申請による就労は難しくなっているものの、会社を設立して「経営・管理」の就労ビザ取得については合法なので、一旦足がかりが出来た山武市でスリランカ人の移民化の流れは簡単に止まらないだろう。

市民の不安に山武市は無頓着。最後のツケは結局市民。

外国人を排除するという考えを持った市民はほとんどいないのではないだろうか。

しかし、生活圏に言葉や生活習慣の違う外国人がじわりじわりと増えていく現状に不安を感じない市民は少なくない。

山武ジャーナルに、「農作業から帰ると納屋で外国人が農機具を物色していた」といった情報が寄せられたこともある。

この様な市民感情に、山武市はあまりに無頓着と言わざるをえない。

山武市では来年の東京五輪のスリランカ事前キャンプ事業のため、極端なスリランカ人住民の増加問題には目を逸らしている。

むしろ、山武市の補助金交付団体「さんむグローバルセンター」では、スリランカの主要言語であるシンハラ語で「山武に暮らそう」というページさえ公開している。

さんむグローバルセンター「山武に暮らそう」(シンハラ語)

すでに山武市内では入居者がスリランカ人ばかりのアパートなどが散見されるようになっている。

日々のゴミ出しから始まり、外国人児童の保育や就学、外国人との交通事故の際に補償が受けられるか、海外医療費の請求で適切な審査ができるか、彼らが生活に困窮した場合生活保護はどうするか、少し考えただけでも外国人を地域に受け入れるには様々な課題があるのは明白だ。

このまま山武市内にスリランカ人住民が増えれば、市民生活に様々な問題が生じる可能性は否定出来ない。

スリランカのキャンプ招致と一連の関連事業は前市長の政策といえ、偽装難民の流入を促進し、今や移民化が進行しているのは、紛れも無く山武市の作為であることに疑いない。

移民受け入れ政策など、人口5万人、税収50億円あまりの地方都市が手を出して良い訳がないのは誰の目から見ても明らかだ。

山武市は前市長と総務省出向の元市長が安易に手を出した五輪キャンプ招致事業の結果について、しっかりと責任を自覚しなければならない。しかし、市の政策を決定する市長も、それを審議する議員も任期が終わればただの人。結局最後に結果責任を追わなければならないのは、私たち市民になるという現実も、私たちは忘れてはいけない。

参考文献:「寄生難民」坂東忠信著