鹿間陸郎東金市長が10月14日の午後5時過ぎ、東金市役所近くの交差点で赤信号を無視して横断歩道を渡る様子が山武ジャーナルの読者によって投稿され、この動画がYOUTUBEにアップされたことで鹿間市長は18日、東金市議会の全員協議会で「急いでいたので渡ってしまった」と本人であることを認め、謝罪しました。
東金警察署は、この動画で赤信号を無視して横断歩道を渡る行為は、道路交通法第七条第一項違反であるとの見解を示しました。
罰則は二万円以下の罰金または科料です。
刑罰法規によって可罰的とされる行為は、「犯罪」と定義されます。(有斐閣法律用語辞典第4版より)
すなわち、この鹿間市長の赤信号無視は、微罪といえど犯罪行為です。
さて、「刑事訴訟法」という法律があります。
その二百三十九条の条文は、次の通りです。
刑事訴訟法第二百三十九条
何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
② 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
この法律は、一般的に何人にも犯罪を告発することができる権利を定めたものですが、第二項は官吏=国家公務員と公吏=地方公務員について、犯罪を知った時には告発しなければならない義務を規定したもので、犯罪の軽重については問われていません。
この条文を素直に読めば、「公吏」である東金市職員は、鹿間市長の道路交通法違反=犯罪行為を知った時点でそれを告発しなければならない義務を負っていると解釈されます。
公務員がこの義務を履行しない場合は、不作為の責任(やるべきことをやらない責任)を問われることになります。
地方公務員法第二十九条第一項は、次のように定めています。
地方公務員法第二十九条第一項
職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
ここにある通り、公務員が法律に定められた職務を怠れば、「戒告」「言及」「停職」「免職」といった懲戒処分の対象となります。
地方公務員特別職である市議会議員が「公吏」であるかどうかについては議論があるところだと思いますが、市民の代表として少なくとも市長の犯罪行為を見逃さない「責任」はあるのではないでしょうか。
議会が直接告発をしないまでも、市長の犯罪行為を法律に従って告発するよう市執行部(この場合は副市長以下になるのか?)に対して勧告決議を行うなど、やるべきことはあるのではないでしょうか。
東金警察署からは、「告発状に犯罪内容を示す資料などを添付して提出されれば、犯罪要件を満たすかどうか精査した上で受理すると」と回答をもらっています。
法と規則に従って運営される地方公共団体とそこに勤める地方公務員の皆さんは、この件についても法に従って粛々と処理されることを期待します。