椎名市長の所信表明がやっぱり憲法違反な件

椎名市長の所信表明がやっぱり憲法違反な件

椎名千収山武市長が所信表明で地方自治に対する基本姿勢として示した「一定の条件を満たした一部の市民が直接市政の最終判断を下す。」という考え方が、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条に違反しているという指摘をしたが、平成26年9月議会においても今関議員が本会議で直接椎名市長に対してこの件について質問した。

今関議員の質問主旨は以下の様なものだった。

1.「知識」と「情報」を持つという条件を備えた市民とそうでない市民を区別するのか?

2.「最終的な責任は市民にある」と繰り返し言っているが、それでは市長の責任はどこにあるのか?

これに対する椎名市長の答弁であるが、曖昧な表現も含まれているためまずは会議録からそのまま引用する。

1に対する椎名市長の答弁

 そういう意味ではなく、基本的に人として、全ての市民が良識をお持ちであるという、まず前提でございます。
 ただ、正しく物事を判断する場合に、判断というのは、さまざまな条件のもとで判断をいたします。そのときに間違った情報があれば、間違った判断につながってしまう。例えば、私どももそうなんですが、このごろ非常に科学も進みましたし、コンピューターがどんどん進みまして、私たちに理解できないものがたくさんできました。
 ですから、常に新しい知識が要求されます。そういった意味で、これは誰にとっても、新しい情報、正確な情報、新しい知識は必要になります。そういった意味で、情報、教育といったものは、しっかりとやっていかなければならないということを申し上げてございます。

2に対する椎名市長の答弁

 例えば、市政の施策を決定いたします。そういった責任は、私に帰するということでございます。
 地方自治を進めていく中で、市民お一人一人にこの地域を誰かに委ねっ放しで、自分の望む地域ができるかということでございます。その意味では、市民お一人お一人が、自分たちの住む地域の全ての事柄と言っていいと思いますが、に対して、市民お一人お一人がその責任は持っているんだということを御自覚をしていただいた上で、地域を作っていくべきだろうと考えてございます。
 そういった意味では、例えば選挙の投票率ですとか、そういったことも含めまして、しっかりと投票もしていくいただくということが、自分の責任を果たしていただくことにもなります。例えば、市の経済的な力が一定の限界がございますが、それを超えた、望む、理想的な地域はなかなかできない。そういうようなことにつきましても、これは御理解をいただかなければならないと思います。
 そういった意味で、一つ一つの御判断のもとに、しっかりと市民が正しい御判断をしていただくということが、最終的に正しい施策にもつながっていくということが、私としては、最終責任が市民にあるんだという形で述べさせていただいているわけで、自分の責任を回避するために、そのように書いているわけではないと御理解をしていただいてよろしゅうございますでしょうか。

椎名市長の答弁から論点そらしの部分を除くと、まず1については「全ての市民が良識を備えているのが前提なので、市民を区別するものではない。」ということで良いだろう。

2については非常にわかりにくい表現をしているが、まとめると

・市民の責任は選挙で投票することで果たす。

・市民の正しい判断(によって選ばれた市長)が正しい施策を行う。

・選挙で市長を選んだのは市民なので、その市長の施策の最終責任は市民にある。

ということになろう。

これをもっとわかりやすくすると

「私を選んだのはお前ら市民なのだから、私の政策が失敗してもそんな私を選挙で選んだお前らの責任。」

ということではないだろうか。

確かに、選挙でより良い人物を自分たちの代表として政治の場に送り出すのは、私たち有権者の責任に間違いはない。

「こんな市長を選んでしまったのは自分たち市民の責任だから、次はもっとしっかりした人物に投票しよう。」と反省することに何の問題もない。

だが、為政者たる市長が市民に対してその責任を問うとなれば、話は全く変わってくる。

日本国憲法第15条の4

すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

選挙人=選挙で投票した市民なので、市長が市民に対して最終責任を問うのであれば、それは明らかな憲法違反ということになる。

椎名市長は辛くも憲法第14条違反については言い逃れたものの、憲法第15条については明らかに反する考えをしっかりと議会で答弁してしまったのである。

憲法とは国家と国民との契約であるといわれる。

法律や規則が基本的に国家が国民を縛るものであるのに対し、憲法は国家が国民に対して守らなければならないものだ。日本国の基礎自治体である山武市の市長であれば、当然遵守しなければならない。

ただ、椎名市長の政治思想が憲法違反であるとしても、それ自体は憲法で保障された思想信条の自由として尊重されるべきものかもしれない。

しかし、それを市政運営の基本姿勢として議会で表明することは許されるものではない。

椎名市長が日本国の憲法に反する地方自治を行おうとするのであれば、まずは適法な手続きで憲法を改正することが先だ。

基礎自治体の首長という立場で憲法改正を行うことが不可能なのは明白なので、椎名市長には憲法違反の市政運営を一刻も早く止めて頂き、山武市長の職を辞して国政の場に転身し、そこで自らの政治信条を実現するために憲法改正の論議を思う存分されることを強く進言したい。

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山武市議会会議録

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