今回はコラムというよりエッセー的な感覚です。
ここ1週間位の間に、山武ジャーナルに対して何人かの読者の方からご意見を頂戴しました。そういったご意見の中に、なにか共通点のようなものがあるような気がしましたので、この際小筆の考え方を山武ジャーナルWEB上にも表明させて頂こうと思います。
問:最近、広報誌の問題で齋藤ニュースサービス(読売センター成東)を叩いているけれど、それよりも山武ジャーナルとしては行政の責任を追及するべきではないですか?
「広報誌の問題」とは、一括して新聞折込で広報誌の配布業務を行っている新聞折込組合の代表であるYC成東が、配達されない大量の新聞を県外ナンバーの古紙回収車に積み込む現場を撮影したことから、山武市に対して折込数を水増しして請求しているのではないかという「疑惑」です。敢えて「疑惑」とするのは、詐欺容疑などでYC成東に強制捜査でも入らない限り、疑惑は疑惑のままだからです。なので、今後は「広報折込水増し疑惑」ということにします。
山武ジャーナルが初めて広報折込水増し疑惑を報じたのは令和元年6月でしたが、個人的には数年前から明らかにおかしいと感じていました。
山武市の世帯数はおよそ22,000世帯です。合併以来市の人口は減少を続けていますが、世帯数についてはほぼ変わらずか、むしろ微増といったところです。
今を遡ること4年前の平成27年12月、山武市の住民基本台帳上の世帯数は22,055世帯でした。
この時、山武市の広報誌は新聞折込でどれくらい配布されていたと思いますか?
小筆が担当部署の市民自治支援課に電話で確認したところ、
「正確な数字は今すぐはわかりませんが、2万と数百部です」
インターネットやスマートフォンが普及している昨今、新聞の発行部数減は深刻です。
そんなご時世に、なぜ山武市では9割以上の世帯が新聞を購読?
しかも、この中には宗教団体や政党の機関紙は含まれていません。
全国的に読者離れが進む新聞を、山武市だけ9割以上の世帯が購読しているなどということは、常識的に考えてあり得ません。
さて、それから2年と少々が過ぎ、小筆が成東地区区長会成東支部の会長を拝命したことから、この問題を区長会総会の際に文書で市に質問することにしました。質問に先立ち、改めて市民自治支援課に問合せた平成30年4月の折込部数は19,015部となっていました。2年と5ヶ月で約1,000部の減少です。割り算すれば1ヶ月あたり34部程度の減少です。
質問の趣旨は、
・全国の新聞世帯購読率が7割程度に対して、山武市が9割近い購読率というのはおかしくないか?
・市民の手に適切に広報が配布されていないのではないか?
というものでしたが、市からの回答は、「折込組合代表の齋藤ニュースサービスに確認したところ、毎月適切に各店の数字を取りまとめて申告しており問題はない」とのことでした。
こちらは「新聞折込組合が水増しをしているのではないか?」と指摘しているだから、その疑惑の当事者の話だけ聞いてもあまり意味はないように思います。
さて、その後。
開けて平成31年2月に再度確認したところ、折込数は17,835部まで減少していました。10ヶ月に1,180部の減少、1ヶ月あたりでは118部です。
それまで1ヶ月34部の減少だったのが、小筆が指摘してから急に3倍以上のペースで減少するようになりました。
翌月の平成31年3月は200部減の17,635部。そして11月には15,826部まで減少しました。山武ジャーナルで報じて以降は、3倍のペースがさらに加速して6倍近いペースで減少しています。確かに全国的に新聞購読率は減少傾向が続いていますが、ここ1年でそれまでの6倍のペースなどということはありません。
先般の記事では、年初より1,909部減と報じましたが、実は小筆が個人的に指摘して以降でいえば実に3,189部も減少しているのです。
山武市の広報折込水増し疑惑のこれまでの流れを改めておさらいした上で、本題に戻ります。
確かに行政側も税金の不適切な支出の可能性を指摘されながら、ろくな調査を行わなかった責任は免れないと思いますが、そもそも水増し疑惑が事実とすれば、悪いのは水増しを行っている新聞折込組合側です。
例えば奥さんが浮気現場を旦那さんに見つかったとします。
その時、「私が浮気をしたのは、あなたがちっとも優しくしてくれないからじゃない! 悪いのはあなたの方よ!」
という論法が果たして通じるかどうかです。
確かに旦那さんが奥さんを大事にしていなかったとしたら、それは旦那さん方にも一定の非はあるのかもしれません。
だからといって、それで奥さんが浮気をして良いかどうかは全く別の問題ではないでしょうか。
広報水増し疑惑に当てはめれば、明らかに常識で考えられない数字を小筆が指摘した時に本気で調査しなかった行政側にも一定の責任はあるでしょう。
しかし、冒頭でも書いた通り事実関係を明らかにするには、家宅捜索でも入らない限りほぼ不可能です。
広告代理店を排除して窓口を独占し、「言い値」の折込数で市に折込料金を請求している新聞折込組合の方がどう考えても「悪い」です。
広報折込問題で、山武ジャーナルが山武市ではなくYC成東を追及するのはこのためです。
ただ、この問題を山武市がこのまま放置すれば、不作為の責任は免れないでしょう。
折込組合が3,000部減らしてきたからメデタシメデタシかといえば、全くそうではありません。
先般の記事で指摘した通り、恐らく今の数字にもまだ水増しはあると考えられますし、立証は難しいとしても折込数の水増しは紛れも無い詐欺行為です。
また、ここまで減少したことで回覧板での全戸配布数を下回りましたので、これからも広報の新聞折込を続ければ、建前的にもどんどん市民に広報が届かなくなってゆくことになります。
例えば、千葉市は新聞購読率の低下で市民に広報が届きにくくなるということで、平成29年に新聞折込での配布をやめてポスティングによる配布に切り替えました。山武市辺りでは業者を使った全戸ポスティングはコスト面でも現実的ではないと思いますが、自治会組織に協力を仰いだり、電子的な配布を進めるなど、新聞折込以外の配布手段は十分検討出来るはずです。
これまでの水増しによる損害賠償請求などが困難なことを考えれば、せめて新しい広報の配布手段を迅速に検討するのが市の責任だと思います。
他にも書きたいことがあったのですが、長くなってしまったのでこれまでとします。
今後とも山武ジャーナルをご愛読のほどお願い申し上げます。