山武ジャーナル

【五輪キャンプ招致事業】山武市内の外国人登録者数、スリランカ人が1年で80%増

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東京五輪のスリランカ事前キャンプ事業を進める山武市で、スリランカ人の住民登録が急増している。

平成28年9月末現在、山武市内の外国人登録者812人のうちスリランカ人が153人となり、ここ1ヶ月で10人増加したことで、それまで国別で最多だったフィリピン人を抜いてトップとなった。

過去4年間の同月のデータを比較すると次のようになる。

山武市の外国人登録者数国別内訳

2016年9月末 2015年9月末 2014年9月末 2013年9月末
スリランカ

153

85

70

65

フィリピン

145

139

145

126

タイ

106

113

115

111

中国

102

112

102

125

韓国

79

81

82

88

その他

227

213

191

156

812

743

705

671

これを見ると、スリランカ人住民だけが実に1年間で80%増と突出して急増していることがわかる。

見方を変えて、2013年度の年初を100%とし、山武市の日本人住民と外国人住民の増加率をグラフで表すと以下の通りになる。

2016年9月末現在で日本人住民は94.85%と3年半で約5%減に対して、外国人は121.19%と20%以上も増加している。

このデータに、更にスリランカ人の増加率を重ねたのが次のグラフだ。

スリランカ人に限ると2013年初と比較して268.42%、つまり3年半で2.7倍に急増したことがわかる。

 

市内のスリランカ人急増と五輪キャンプ招致事業との因果関係について、今年度スリランカ人のまちづくり支援員を採用した市民自治支援課は「たまたまとしか言い様がない」との見解を示した。

ところが、9月23日付の千葉日報の記事では、グローバルセンター事務局長の石橋昌美氏が「『(地元の)人⼝が減る中、今後労働⼒を外 国人に頼る部分が増えることもある』と指摘。」とあり、部署ごとの見解は一致していない。

この件について石橋氏は山武ジャーナルの取材に対し「これは日本全体で人口が減少する中での一般論」「私の個人的な意見」「私はグローバルセンターという民間団体の事務局長なので山武市を代表して答える立場にない」といいながら後になって「自分はオリパラ推進室の職員である」といってみたりと、まるで要領を得られなかった。

また、当初特別な施設は必要なくお金を掛けないで出来るという話だったのが、成東運動公園の改修に4億5000万円掛けるという話が持ち上がり、議員を始め多くの市民が問題視している件を尋ねた際は、

「成東運動公園の話は今に始まった話ではない。オリンピックのためにやるというより、オリンピックという国の施策を利用して市民のためにやること」

との事だったので、ではなぜ昨年の産経新聞のインタビューの際に「国の施策を積極的に活用して市内のスポーツ施設を整備したい」という話をしないのかと尋ねると

「その時には頭になかった」

と「行き当たりばったり」の印象は拭えない。

そもそも山武市の五輪キャンプ招致事業そのものが、まず初めに「ホストタウン」という国の施策ありきで、条件を満たせる国があるかどうか探すうちに、たまたま市内にスリランカとの交流を続けている方を見つけたことでスリランカ国との交渉を開始したという経緯であるため、もし仮に交渉できる国が他にあれば特段スリランカでなくてもどこでも良かったという話である。

 

オリンピックを4年に一度のお祭りと位置づければ、ノリでお祭り騒ぎをすることは必ずしも悪くないのかも知れないが、山武市の五輪キャンプ招致事業を通じで山武市に移転してきたスリランカ人の皆さんは、五輪が終わればまたどこかへ引っ越して行ってしまう訳ではないだろう。

仮にここ1年の増加率が続けば、4年後の山武市のスリランカ人人口は1600人を超える。

日本人人口が今の傾向で50000人程度まで減少し、スリランカ人以外の外国人が微増と考え外国人住民が2200〜2400人程度になるとすれば、山武市の外国人住民比率は4〜5%となる。これは千葉県全体の外国人住民比率1,7〜1.8%を大きく上回る。

20人に1人が外国人となれば、小中学校のクラスには必ず1〜2名の外国人がいるという状況になる訳で、もし山武市がそのような状況になれば街づくりから市民生活まで様々な影響が出ることに間違いはない。

小筆は決して外国人を排斥する考えを支持するものではないが、世界のあちこちで外国人移民の問題が深刻化している現実をみれば、人口5万2千人、自主財源比率30%未満の山武市あたりでは手に負えない問題に発展する可能性を否定出来るだろうか。

山武市へのスリランカ人流入は、近隣からの転居だけでなくスリランカ本国から来日するケースも増えており、すでにそこには高額な報酬で日本への入国を斡旋するいわゆる「ブローカー」の存在も見え隠れしている。

山武市が外国人住民の増加に対して真剣な議論をすることなく、今のまま国の補助金獲得を目的とした五輪関連事業を安易に推進することについて、山武ジャーナルは強く警鐘を鳴らすものである。

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