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【オピニオン】定数割れが常態の山武市教委・山武市は自ら定めた条例を守れ

【オピニオン】定数割れが常態の山武市教委・山武市は自ら定めた条例を守れ
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平成29年第1回山武市議会定例会において、元千葉県教育長の清水新次氏を山武市教育委員に任命する人事案が可決された。

平成27年10月21日に1名の委員が辞任して以来、1年4ヶ月に渡り1名欠員の状態が続いていた山武市教育委員は、これでようやく定員を満たすこととなった。

ところが、その翌月3月23日の教育委員会会議において、1名の委員が辞任する議案が同意された。人事案件については秘密会で審議されるため、この時点で辞任した委員が誰かは公表されず、

山武市教委に取材を試みても、

「4月になれば分かると思います。」

との回答しか得られなかった。

教育委員会は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」によって、各地方自治体が設置する独立行政委員会で、委員会を構成する教育員の定員は同法によって次のように定められている。

第三条  教育委員会は、教育長及び四人の委員をもつて組織する。ただし、条例で定めるところにより、都道府県若しくは市又は地方公共団体の組合のうち都道府県若しくは市が加入するものの教育委員会にあつては教育長及び五人以上の委員、町村又は地方公共団体の組合のうち町村のみが加入するものの教育委員会にあつては教育長及び二人以上の委員をもつて組織することができる。

現在山武市教育委員の定員は教育長+5名で、地教行法の定めより1名多い定員は、次の山武市教育委員会委員定数条例によって定められたものである。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第3条ただし書の規定により、山武市教育委員会は、5人の委員をもって組織する。

この条例に定数を1名加えることの意義は明記されていないが、「教育委員は4人ではなくて5人必要」と認めた何らかの理由があったからこそ条例を定めたのではないだろうか。しかし、山武市は自ら定めた教育委員の定数を、欠員のまま1年4ヶ月是正することが出来なかった。そして、ようやく清水委員が就任したのも束の間、翌月には再び別の委員が辞任し、1年半もの間定員割れが「常態」となっている。

教育委員が欠員状態となった期間、山武市教育委員会は議決前の小中学校統廃合案パンフレットを印刷して市内全戸に配布し、このことを議会で追及され教育長が陳謝するという通常では考えられない失態を犯している。

また、この期間に教育委員会が議決した小中学校統廃合計画について、平成28年第3回山武市議会本会議において、

「条例を遵守して速やかに後任を充てるべき立場にある市長と教育長が、条例に違反する状態を続けて進めた小中学校統廃合計画には瑕疵があるのではないか。」

との指摘がなされたが、それに対して椎名千収山武市長は、

「勉強させて頂きたいと思います。」

と、明確な答弁が出来なかった。

山武ジャーナルが改めて取材したところ、辞任したのは平成27年まで教育委員長を務めた五木田委員であったことを確認した。

五木田委員は平成28年4月に再任されたばかりで、任期は平成32年までとなっていたが、わずか1年で辞任した理由については明らかにならなかった。

あくまで推論であるが、平成28年までの任期であった五木田氏が再任されていなければ、山武市教育委員会は地教行法で定められた定員の4名すら維持できない状態となるため、新たな委員が任命されるまでの条件で慰留されていた可能性を指摘しておく。

地方公共団体の公教育を担う教育委員会は、教育の公正中立性を確保し、子供の学習期間中一貫した教育方針で安定的に行われるよう首長から独立し、住民による意思決定=レイマン・コントロールで広く住民の意向を踏まえて行われるべきものである。

しかし、現状山武市教育委員会は、形ばかりの学校説明会で反対住民の意見を封殺に近い形で聞き入れず、椎名市長の強い意向を受けて立案された小中学校統廃合計画を推し進めている。多くの住民がこの計画に異論を唱える中で、敢えて火中の栗を拾う様に教育委員を引き受ける人物が今後現れるのかどうか

教育委員の任命者は市長であるから、椎名市長が今後も欠員となっている教育委員を任命できず、あるいは1名増員を定めた条例の廃止も出来ないのであれば、山武市で3期、合併前の成東町時代の3期を加えれば通算6期となる超多選椎名市政の限界が、そろそろ見え始めて来るのではないだろうか。