山武ジャーナル

【第1回】山武市公式YOUTUBEチャンネルが、色々アレなので突っ込んでみた

山武市が令和2年、民間調査会社による「全国魅力度ランキング」でワーストワンになったというニュースは、多くの山武市民に少なからず衝撃を与えました。

この調査に関しては、やはり都道府県で40位とされた群馬県の山本一太知事は調査方法などを検証し、「緻密さや信頼性に欠ける」などとして批判しました。

群馬県知事、魅力度ランク「北関東ばかり最下位不自然」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC172SA0X10C21A7000000/

日本経済新聞WEBサイトより引用

実は山武ジャーナルも、このランキングを発表した「ブランド総合研究所」に対して、電話取材を行っていました。

その際、同社社長に調査方法などを訪ねましたが、ランキングの根拠は単なる一般市民に対するアンケートの集計に過ぎず、実質的には「知名度」のランキングに過ぎないことがわかりました。

また、山武市の魅力度が全国最低である理由を説明するよう求めましたが、「数千円から数十万円のレポートに書いてあるので、購入して読めば分かります」という回答でした。

「魅力がない」と名指しされた自治体は、なぜ「魅力がない」と言われているのか、市民に説明しなければならなくなりますが、その根拠を知るにはこの会社が売っている高額なレポートを購入しなければわからないという具合です。

そもそも「魅力」などという抽象概念は、順位付け出来る性質のものではありません。

これは地方自治体に対して、魅力度下位にランキングすることで高額なレポートを購入せざるを得ない状況を作り出す、「マッチポンプ」的ビジネスモデルと言わざるを得ないでしょう。

中には、「どうしたらランキングが上がるのでしょうか?」と、この会社にお金を払ってコンサルティングを依頼している自治体もあるようですが、山本一太群馬県知事を見習った方が良いですね。

 

さて、こんな「魅力度ランキング」でワーストワンになったのを全国ニュースでさらされた我が山武市ですが、「魅力度」アップのために色々と頑張っているようです。

YOUTUBEに「山武市公式チャンネル」を開設したのもその一環なのでしょう。

小筆がこのコラムを書いている令和3年7月23日現在、チャンネル登録者数は426人。26本の動画がアップされています。

全てをつぶさに観た訳ではありませんが、数本の動画を観たところ色々アレだったので、優しくツッコミを入れてみたいと思います。

今日はこの動画にツッコミを入れてみたいと思います。

「魅力がない」と言われた山武市が、「『◯◯』がないことが魅力だ」と、逆説的に市の魅力を発信しようとしているのでしょうね。

 

山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより

都会の朝にあって、山武市の朝にないものが、「満員電車」だそうです。

都会の人は毎日満員電車に乗って、会社につく頃にはもうヘトヘト。

でも、山武市の人は成東駅が通勤快速の始発になっているので、ゆったり座ったまま東京駅まで行けるそうです。

何かおかしい。

成東駅発東京行きの快速電車は、6:51発の京葉線直通の東金線と、7:05発の総武本線の2本で、それぞれ東京駅到着時刻は8:27、8:41で、所要時間はどちらも96分だそうです。

会社の始業時間が9時だとすると、その時間に東京駅について会社に向かって間に合う範囲は、かなり限定されるでしょう。東金線の方は8時半前に東京駅に到着しますが、京葉線のホームなので、乗り換えをするだけでもう遅刻してしまうでしょう。

途中駅からであれば地下鉄などに乗り換えて行ける範囲は多少広がるかもしれませんが、その時間に乗り換えた電車や地下鉄は正に通勤ラッシュのピークなので、成東駅から始発で座って来たとしても、最後はこのおじさんのように苦悶の表情を浮かべて満員電車に自分の体を押し込むことになります。

また、遠くても10分か15分歩けばどこかしかの駅がある都会と違い、成東駅を便利に使える山武市民はどのくらいの割合でしょう。

山武市の面積は約146平方キロメートルだそうですが、これは東京23区で最大面積の大田区と2番目の世田谷区を足した面積よりも一回り大きい感じです。

大田区と世田谷区なら、JR、私鉄、地下鉄の駅は70以上ありますが、山武市は3つです。

成東駅を利用するために自宅から30分掛かる人は、7:05の通勤快速に乗るためには6時半には家を出なければなりませんが、朝の支度に1時間掛かるとすれば毎日5時半には起床する必要があります。

都会に住んでいて、駅まで15分歩いて電車に15分乗って、会社まで歩いて5分でつける人なら、家を出るのは余裕を見ても8時過ぎで良いので、毎日7時までゆっくり眠れます。

それに、この動画では「東京駅まで1本で通勤できる!」と説明していますが、帰りの時間には東京から1本で成東まで来られるのは、2時間に1本の特急しおさいしかありません。

通勤に特急料金を負担してくれる会社が、一体どれだけあるでしょう。

たとえ行きは乗り換えなしに1本で東京駅まで行かれるとしても、帰りは最低でも1回は乗り換えをしなければならないので、待ち時間も考慮すればその分所要時間は増えます。

恐らく、山武市から東京の都心部に電車で通勤されている方は、行きに2時間から2時間半、帰りに2時間半から3時間、毎日通勤に4〜5時間費やしているのではないでしょうか。

都会の人の通勤時間が1〜2時間とすれば、山武市の人は2〜3時間余計にかかる上に、余程条件が良くなければ乗り換え後のラスト10分とか15分は都会の人と同じ様に満員電車にも揺られないといけません。これを「山武市の魅力」と言って良いのでしょうか

都心の会社に山武市から20年通って勤め上げれば、年間出勤日数を250日とすると、10,000〜15,000時間にもなります。

これを24時間で割ると、416.7〜624日にもなります。

成東から都心に通勤している人は、都会に住んでいる人に比べて、貴重な人生の1〜2年を通勤時間に奪われているのです。

小筆なら、毎日山武市から都心に長時間通勤している人に向かって、「山武市は通勤ラッシュがないからいいでしょ?」なんて、口が裂けても言えません。

山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより

山武市には11の幼稚園・保育園・こども園があるから、待機児童はゼロだそうです。

でも、子育て世代の皆さん。騙されてはいけません。

山武市は13の小学校を6つに、6つの中学校を3つにする統廃合計画を粛々と実行中です。

一方で待機児童ゼロを謳いながら、一方で小中学校を無くすのですから、山武市の教育政策は全く整合性がとれていないと言わざるを得ません。

地方公共団体の教育行政のトップは教育長ですが、山武市の教育長は2万円の波動水を販売するなど、かなりアレな人物なので、さもありなんという感じです。

山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより

都会の3世帯同居の家庭は、住宅ローンに追われて粗末な食事しかでず、山武市の家庭は住宅の購入に75万円の補助金を貰えるから、地元食材をふんだんに使った豊かな食生活がおくれるそうです。

豊かな生活をしている人は都会にも山武市にもいるし、住宅ローンに追われて生活を切り詰めている人だって都会にも山武市にもいます。

現に山武市内にも、バブル期に開発されて高値で販売された建売住宅が、ローンが滞って競売や任売になっている例は無数にあります。

いくら地元食材だからといって、ただで貰えるわけはありません。このご家庭も、これだけの豪華な食卓を囲むには、それなりのお金を払っていることでしょう。

都心のタワーマンションの最上階に住んで、毎日ホテルのルームサービスの様な食事をしている人がこの動画を観たら、「世の中には、もっと美味しいものがいくらでもあるんだけどな」と、日本中、世界中の美味しい料理とお酒に舌鼓を打ちながら、怒りを通り越して呆れてしまうのではないでしょうか。

それに、様々な事情で経済的に困窮している山武市民だっていらっしゃるわけですから、山武市がこの動画で「これが山武市の魅力だ」と発信するなら、生活保護の方にももれなくこれだけの食事を毎日提供できる体制を整えなければなりません。

あと、ハンバーガーを粗末な食事の代表のように扱うのは、本当に失礼です。

山武市には、マクドナルドのパティを製造する、スターゼンの工場があります。

あれだけ大きな工場ですから、雇用を始め山武市経済に対する貢献は決して少なくないでしょう。

山武市がハンバーガーをディスるなど、バチあたりも甚だしいです。

ハンバーガーに謝るべきです。

それに、このいちご、本当に山武市産?

山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより
山武市公式チャンネルより

星が見えない都会の子供は夢が持てないのに対して、山武市の子供は星を仰いで将来を夢見られるそうです。

確かに、高い建物が殆ど無い山武市は空が広く感じます。

都心部に比べれば確かに星はよく見えるかも知れませんが、かと言ってそれほど離れていない所に千葉市や成田市の様な都市もあるし、国道126号線沿いは夜でも結構明るいし、長野県あたりにキャンプに行った時に見られる「満天の星」でもありません。

星が見えにくいことをもって、

「都会の子供には夢がなく、山武市の子供には夢がある」

というのは、山武市のアピールでも何でもなく、都会の人に対する偏見に基づくヘイト表現ではないでしょうか。

それに、この星を見上げるシーン、合成にしか見えませんが。

 

さて、読者の皆さんはこの動画を観て、どんな感想をお持ちでしょうか。

これはどう見てもプロの業者が制作したものですが、このシナリオを書いた業者も業者ですが、OKを出した山武市側にはまともな判断力をもった人がいなかったのでしょうか。

これでは山武市の魅力をアピールするどころか、炎上させようとする悪意すら感じさせます。

前述のとおり、「全国魅力度ランキング」が単なる知名度ランキングなら、むしろ炎上の方が効果的かもしれませんが、山武市公式チャンネル動画のコメント欄は、書き込みが禁止されています。

今後こんな程度の動画制作を続けていくのなら、せめて炎上を目指してコメント欄は開放するべきではないでしょうか。

 

これからも折にふれて山武市公式チャンネルの動画にツッコミを入れていきたいと思います。

読者の皆様からの、「これはヒ◯い」とか「この動画にツッコミを入れて欲しい」などのご意見もお待ちしております。