山武ジャーナル

【日向台水道問題】山武市水道課、民間企業の案内文書を民間企業の切手で送付

民間不動産開発会社「太平洋興発(株)」が運営する日向台団地の民間水道に係る説明会等の案内文書を、山武市水道課が同社から切手を受け取り、山武市の固定資産台帳に基づき当該地区の住民に4回に渡り送付していたことがわかった。

山武市水道課は、

「水道事業は太平洋興発と一体で行っている。同社の持つ顧客データは販売当時のもので、現在の土地所有者と必ずしも一致しておらず、市の持つ所有者データは個人情報保護の観点から提供できないので、太平洋興発の文書に水道課の文書を同封し、同社から提供された切手を貼って該当地域の住民に送付した。提供された総額254,000円の切手は、会計には組み入れなかったが『受払整理簿』を作成して適切に管理し、使用しなかった分は返還した」

としている。

山武市水道課から日向台住民に送付された封書。1〜3回目は山武市水道課の封筒。4度目は茶封筒になっている。料金別納郵便で切手は貼られていない。

また、太平洋興発(株)は、

「当社の持つデータが古いので、どちらからともなく水道課から送付することになり、切手を提供した。4回目は(市の封筒を使うのは)不適切との指摘があったため、こちらで封筒を用意した。3回分の封筒代については、水道課から数千円の請求を受けている。案内文は原本だけ提供し、こちらでコピーや印刷はしていない」

としている。

送付された文書は、太平洋興発(株)の水道事業撤退と、令和2年8月9日に開催された住民説明会の案内、その結果報告が修正を含めて2回というもの。

現在太平洋興発(株)から水道が提供されている日向台地区について、去る令和3年3月12日の山武市議会において、一旦否決を決めた常任委員会の正副委員長が本会議で賛成に回るなど、異例の顛末で山武市営水道の給水範囲に組み入れる条例が可決したが、給水範囲組み入れと民間水道の移管は同義ではく、まして給水範囲組み入れの条例制定前に行った撤退の説明会であれば、この時点では山武市ではなく太平洋興発(株)の業務であるのは明らか。

その案内の送付業務を山武市水道課が行ったとなれば、発送作業に対する職員の役務、間接的とはいえ市が管理する個人情報、案内文のコピー経費などを、利害関係を持つ民間企業に提供したことになり、太平洋興発から受け取った切手=金券を簿外で管理していた点も含め、各方面から問題を指摘されるのは必至の状況だ。