平成26年6月、山武市合併前から教育長を務めていた金田氏に変わり、教育委員の中から嘉瀬尚男氏が新教育長に選出された。
地方教育行政組織運営法によれば、教育長の職務は
・教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる(第17条)
・教育委員会のすべての会議に出席し、議事について助言する(第17条)
・教育委員会の事務局について事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する(第20条)
となっており、地方自治体の教育行政にとって最も重要な役職で常勤の地方公務員特別職であるが、嘉瀬氏は山武市内において「有限会社カネスエ」の代表取締役を兼務したまま教育長の職に就いた。
有限会社カネスエの事業目的は登記情報によれば以下の通りであった。(注:平成26年10月に変更登記)
1.日用品雑貨の販売
2.建築用作業工具器具の販売
3.建築資材の販売
4.事務用機器、文房具、玩具の販売
5.スポーツ用品の販売
6.不動産の賃貸・管理・保守並びに運用
7.不動産利用に関する企画、設計
8.クリーニング取次業
9.学習塾の経営
10.前各号に付帯する一切の事業
学校教育事務において、文房具、スポーツ用品、日用雑貨、コンピューターやコピー機などの事務機器の購入、あるいは校舎その他の学校設備の運用や修繕等に関与しないことは考えられないが、教育事務の統括者たる教育長が一方で「日用品雑貨の販売」「建設用作業工具器具の販売」「建築資材の販売」「事務用機器、文房具、玩具の販売」「スポーツ用品の販売」「不動産の賃貸・管理・保守並びに運用」「学習塾の経営」を業とする企業の代表取締役であることは、果たして許されるのであろうか?
実際に「有限会社カネスエ」とはどのような企業なのだろうか。
同社のインターウェブサイトはこの問題が指摘されてから直ちに閉鎖されたが、平成26年8月頃にサルベージしたデータを出力したものがこれである。
「波動」「数霊」「デクシャ」「オーラ・チャクラ」といった言葉が並んでおり、何れも拙筆には理解し難い内容のものばかりである。店舗にも「波動プラザ」と「波動カウンセリング」「波動関連商品」「パワーストーン」「フラワーエッセンス」「オーラ・チャクラ測定」「ヒーリングアート」と記載された看板が認められる。
この「波動プラザ」についてはインターネット上に「波動リーディングサロン東京」 というウェブサイトが存在していたが、これもカネスエのウェブサイトと同時期に閉鎖されたため、同様にサルベージデータを出力したPDFファイルを提示する。
1つ目のページには「波動オペーレーター」として嘉瀬氏が写真入りで紹介されている。そこで嘉瀬氏が紹介している「波動水」なるものがどのようなものかが次のページだ。
中身がどのようなものであるかは全く不明であるが、このページを見る限り240ml入りの「波動水」が2本2万1000円、1本1万3650円で販売されており、その購入申込先が「波動プラザ カネスエ」となっている。
人がどのような商品に価値を見出し、それを幾らで購入しようと他人が関知することではないかも知れないが、このようなオカルト的商品を販売しているのが、山武市民の税金から月額61万円の給与を得る教育長であるということを市民はどう考えるだろうか?