山武ジャーナル

山武市小中学校統廃合計画案を市民が認めてはいけない理由(その1)

これまでの記事で、山武市教育委員会と椎名市長による小中学校統廃合計画が市民・保護者不在の非民主的な方法で進められてきたかを示したが、本件はその中でも最も看過できない点の一つである。一部重複する内容となるが、この点を丁寧に説明していきたい。

山武市民に具体的な小中学校統廃合計画が示されたのは、平成28年1月15日以降に配布された「山武市立小中学校の規模適正化・適正配置基本計画(案)〜夢を抱き たくましく生きる力を育むために〜」というA4サイズ6ページからなるカラーリーフレットだった。

この「基本計画(案)」は、平成28年1月20日に開催された教育委員会会議定例会で議決されたものであるが、どうして1月15日に議決前の「計画(案)」のカラーリーフレットを配布出来るのだろうか?

しかも、そのことは、正にこれから「計画(案)」を議決しようとしている教育委員会会議でこの様に説明されていた。

「それにあわせまして、リーフレットをつくりました。カラー刷のもので、学校には15日に持ち込みまして、保護者を経由して全保護者に配っていただきというお願をしてまいりました。区長回覧としまして、18日から全戸配布、回覧で配られているというところでございます。」(平成28年1月20日教育委員会定例会8ページ参照)

「教育委員会」とは、教育に関する事務を行うために地方自治体に置かれる、数名の教育委員による合議制の行政委員会である。

教育委員会の唯一の意思決定機関は「教育委員会会議」なので、この「計画(案)」は平成28年1月20日の教育委員会会議で議決されて初めて教育委員会の「計画(案)」となる。

つまり、このカラーリーフレットが配布された時点では、この「計画(案)」は教育委員会の「計画(案)」ではなかったのである。

まだ教育委員会の「計画(案)」になっていない内容を、教育委員会の名前でカラーリーフレットにして市内全戸に配布したとなると、これがあたかもこれが教育委員会で正式に決定した「計画(案)」であるかのように市民を欺いたことになる。

 

前の記事に続いてたとえ話で恐縮だが、文化祭の出し物を何にするか学級会で話し合う前に、「誰か」が全校に「3年2組は焼きそば屋をやります。」というチラシを配ってしまった様なものだ。

しかも、そのチラシが配られた後に開かれた学級会では、「ホットプレートの電源はどうするか」「材料はどこで買うか」「具は何を入れるのか」「紅しょうがは?」「割り箸は?」という議論が始まっている。

誰も「まだ学級会で決まってないのに、なぜ自分勝手にチラシを配ったのか?」という指摘をしない。

「喫茶店をやりたい」「お化け屋敷をやりたい」「他のクラスの出し物を見たいから適当な展示で済ませたい」

こういった議論もない。

形としては学級会で決めた出し物をやっているのかもしれないが、これではこのクラスには「皆んなのことは皆んなで決めよう」という民主的な空気はなく、チラシを配った「誰か」には無条件に従わなければならないという暗黙のルールにでも支配されているかの様な印象を受けるのではないだろうか。

 

閑話休題。

議決前の「計画(案)」を市内全戸配布した問題は、「教育委員による合議」という地方教育行政組織としての山武市教育委員会のガバナンスが完全に崩壊していることを示している。

このような著しく不適切なやり方で市民の前に示された小中学校統廃合(案)を、どうして山武市民は唯々諾々を受け入れる必要があるのだろうか。

山武ジャーナルではこれからもこの計画案が如何に不適切、そして不誠実なやり方で市民の前に示されたかという点を、「山武市小中学校統廃合計画案を市民が認めてはいけない理由」として一つ一つ解き明かしていきたい。