山武ジャーナル

【椎名山武市長学歴詐称疑惑】公開質問状に回答拒絶 より深まる疑惑

学歴詐称疑惑が指摘されてい椎名千収山武市長は、山武ジャーナルの公開質問状に対して、平成29年9月6日、山武市役所秘書課を通じて正式に回答を拒絶した。

このことが何を意味するのか、順を追って解説していきたい。

椎名市長が経済学修士の証明として開示した書面

1.当時フランスに「修士」は存在しなかった。

椎名市長は平成18年4月の第1回山武市長選挙から、学歴として「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」と表示している。

平成18年4月の選挙公報

椎名氏が「経済学修士の証明」として開示した書面(以後「書面」とする)で、卒業年月日と説明した1977年10月17日当時、フランスの大学で取得できる学位は、学士=Licence(リサンス)と、博士=Doctor(ドクトラ)のみで、椎名市長が自称する「修士」という学位そのものが存在していなかった。

フランスの高等教育制度に修士=Master(マステール)が追加されたのは、2002年頃に英国式の学位制度である「LMD制度」が導入されてからである。

制度が存在しない以上、たとえ椎名市長がどんなに優秀であったとしても、当時のフランスの大学で修士号を取得することは不可能だったのである。

しかし、椎名市長は「書面」の中段にある「MAÎTRISE ÈS SCIENCES ÉCONOMIQUES」という表記が、経済学修士号であるという説明をしている。

MAÎTRISE ÈS SCIENCES ÉCONOMIQUES

確かに、これを日本語に機械翻訳すると「経済学修士」と表示される。

ところが、Maîtrise(メトリーズ)とは当時フランスの大学4年次の課程を表すもので、現在のLMD制度下においては2年間の修士(Master)課程の1年目に吸収されており、これをもって「修士号を取得した」と認められるものではない。

日本の教育制度において「修士」とは、4年制の大学を卒業した後に大学院に進学し、2年ないし3年の課程を修了して取得する学位である。

たとえ言葉の上で「修士」と翻訳できるとしても、椎名市長の示した書面上の「メトリーズ」は、言葉の持つ概念として日本の「修士」とは言えず、これを訳すとすれば「修熟課程」あるいは「4年次課程」またはそのまま「メトリーズ」とするべきものであって、「修士」と訳すのは明らかに悪意の誤訳である。

これがまかり通ってしまうのであれば、博士(ひろし)という名前の人物は全て、海外では「Doctor=博士」を自称できる事になってしまう。

「田中博士(ひろし)」を機械翻訳すると、「ドクター田中」と表示される。

田中博士(ひろし)君が千葉大学に入学し、学生証を持って日本人が誰もいない外国へ行き、何もわからない外国人にそれを見せながらPCの翻訳画面に「私は千葉大学の田中博士です。」と打ち込めば、翻訳結果は「私は千葉大学のドクター田中です。」となる。しかし、だからと言って彼が「千葉大の博士(はくし)」を名乗れば完全に身分の詐称である。

 

現段階で入手している、椎名市長が「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」を名乗っている最も古い記録は、平成18年(2006年)4月の選挙公報だが、それだけでは2002年から2005年の間にフランスの修士課程を修了している可能性を否定出来なかった。しかし、椎名市長が1977年10月卒業とする「書面」を開示したことで、自ら修士号の取得が不可能だったことを証明してしまった。

つまり、椎名市長は自ら「経済学修士」が詐称であることを証明したのである。

 

2.公開質問状回答拒絶で新たな疑惑。「卒業」も詐称の可能性

公開質問状の一つ目の設問は

1.市長がフランスで取得した学位=gradeは何ですか?(複数ある場合はすべて)

というものだった。

椎名市長が留学していた当時、フランスの大学で取得できる学位は学士(リサンス)と博士(ドクトラ)のみだったことはすでに述べたが、「書面」が大学4年次の「メトリーズ」の履修を証明するものであるとすれば、その間に椎名市長が取得できる可能性のある学位は、3年次の「学士(リサンス)」のみで、これが日本では4年制の大学を卒業時に取得する「学士」に相当する。

ところが、日本では大学4年間の課程履修と学士号の取得が一体であるのに対し、フランスでは課程の履修と学位の取得は必ずしも一体とはなっていない。

たとえるなら、自動車教習所を卒業しただけでは運転免許が取得できないのと同じで、自動車教習所の卒業証明書を持って運転試験場へ行き、筆記試験に合格して初めて免許証が交付されるイメージだ。

この「書面」によって椎名市長が4年次の課程を履修していたことは確認できるので、それならば3年次の課程も履修していた可能性は高いと言えるが、日本の大学卒業にあたる正式な「学位」を取得しているかどうかはこの書面で確認することは出来ない。

フランスでは、学位は全てフランス国政府が授与権を持っており、「国家免状=diplôme national」によって授与される。

学士=Licenceの国家免状=Diplôme National。発行が「République française(フランス共和国)」となっている

「修士号」については詐称であることはほぼ疑いないとして、「パリ大学政経人文学部卒業」を称するのであれば、少なくとも日本の大学卒業にあたる学士=Licenceの学位を取得している必要がある。

しかし、椎名市長は公開質問状のこの設問に対して回答を拒否した。

このことで、新たに椎名市長が大学卒業に相当する学士号さえ取得していない可能性も浮上した。

公開質問状の二つ目の設問

2.フランスでは、学位は「国家免状=Diplôme National」によって授与されますが、1の学位を証明する国家免状=Diplôme Nationalをお持ちですか?

これに対しても回答を拒絶し、「国家免状=Diplôme National」を示してフランスの学位取得を証明できないのであれば、「パリ大学政経人文学部卒業」あるいは山武市HPの「パリ大学1経済学部卒業」についても詐称である可能性が極めて高いと判断せざるを得ない。

 

椎名市長は公人として説明責任を果たせ

過去3回の山武市長選挙において、椎名市長の「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」という経歴を見て、「パリ大学でフランス語の修士論文を書いて卒業しているのなら、さぞ優秀な人物に違いない」と判断して投票した市民は相当数に登ったことには疑いない。

しかし、もし経済学修士はおろかパリ大学卒業まで詐称だったとすれば、椎名市長の最終学歴は「高校卒業」となる。そうなれば選挙結果は大きく違ったものになっていたのではないだろうか。

この市民の信頼を根底から覆すような深刻な疑念に対し、椎名市長のとった「回答拒絶」という態度は、公人として断じて許されるものではない。

椎名市長は平成26年6月5日の山武市議会本会議での所信表明で、

市政の最終判断を下すのは市民である。

判断の結果責任は市民に帰する。

判断を下せる市民には条件があり、それは「知識」と「情報」である。

という主旨の発言を行っている。

この内容はそのものは憲法で保証された「法の下の平等」の精神に著しく反する問題発言であるという指摘はこの際置いておくとしても、「市民が市政の最終判断を下すために『知識』と『情報』が必要」と言うなら、自らの疑惑に対して自ら情報の開示を拒み、説明責任を放棄するのであれば、言行不一致も甚だしい。

椎名市長自ら「市政の最終判断を下す市民には『知識』と『情報』が必要」というのであれば、過去の選挙で椎名市長に投票した市民も、椎名市長の対立候補に投票した市民も、全ての山武市民にこの疑惑についての説明を椎名市長に求める権利があるのではなだろうか。

 

ボールは依然椎名市長側にある

椎名市長が「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」の証明として開示した書面が、奇しくも経済学修士が詐称であることの証明となり、「学部卒業」についても疑念が生じているこの状況で、学歴詐称が事実でないと言うのであれば立証責任は椎名市長側にある。

「経済学修士」詐称についてのボールは、すでに持ち上げることもままならない鉛の玉となっており、これを山武ジャーナル側に投げ返すことはほぼ不可能である。新たに投げられた「学部卒業」詐称疑惑というボールも、椎名市長がフランス国の発行した正式な「国家免状」の開示というボールで投げ返さない限り、払拭することはできない。

もしこのまま椎名市長が疑惑を払拭できないのであれば、残された道は全市民に謝罪の上、一刻も早く市長の職を辞することだけである。