【スクープ】椎名山武市長、学歴詐称疑惑が濃厚【パリ大経済学修士】

【スクープ】椎名山武市長、学歴詐称疑惑が濃厚【パリ大経済学修士】

開成中学・開成高校、パリ大学卒の「秀才」と呼び声が高かった椎名千収山武市長に、俄に学歴詐称疑惑が持ち上がった。

以下、順を追って検証する。

1.パリ大学政経人文「学部」卒業の経済学修士?

椎名市長のこれまでの選挙戦において後援会が配布した討議資料には、椎名千収氏のプロフィールが次のように掲載されている。

1945年4月26日成東町に生まれる 姉と妹の3人兄弟

成東小、開成中、開成高校卒業 東北大学理学部中退

パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)

平成22年市長選の際に配布されたリーフレット

https://sammu-journal.com/wp-content/uploads/2017/08/b3a1159b132adaac9f29b00ec1b3428b.pdf

 

平成26年市長選の際に配布されたリーフレット

https://sammu-journal.com/wp-content/uploads/2017/08/fee8d7d05c46825a635fb65ee65430d3.pdf

平成26年市長選挙の際に配布された折込チラシ

https://sammu-journal.com/wp-content/uploads/2017/08/bd043d3c750315fa9d104f2f59baf435.pdf

 

ここでひとつの疑問が浮かび上がる。

日本の大学では、4年制の学部を卒業して取得できる学位は「学士」である。

修士号はその後大学院に進学し、通常2年の修士課程で取得する。博士号は更に3年あるいは当初から5年の博士課程で取得する。大学院においては修士・博士とも卒業ではなく「修了」である。

ところが、椎名市長のプロフィールは「パリ大学政経人文学部卒業経済学修士)」となっている。

つまりこれは、「学士課程を卒業して修士号を取得した」という極めて不可解な表記であり、学歴の説明としては大きな疑問を持たざるをえない。

また、山武市ホームページ内の椎名市長のプロフィールは次のようになっている。

昭和52年10月 パリ大学1経済学部卒業

山武市HP市長プロフィール

市長プロフィール – 千葉県山武市公式ホームページのサムネイル
改変された場合はこちらの本日現在の印刷データを参照。

この様に、椎名市長後援会のプロフィールとは異なる内容となっている。

山武市HPには「経済学修士」の表記はなく、これだけ見た場合は通常「パリ大学1を卒業して『学士』を取得した」という理解となるため、椎名市長は最終学歴について後援会と市役所で学部も学位も異なる情報を掲載していることになる。

さらに、過去の市長選挙の選挙公報を確認してみると、不自然なことに椎名市長の選挙公報には一切の経歴が記載されていなかった。

平成22年市長選公報

 

平成26年市長選挙公報

これらの疑問から、山武ジャーナルは平成29年8月24日、秘書課を通じて椎名市長に対して「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」が確認できる証明書の開示を申し入れた。

 

2.フランスの学位制度

フランスの高等教育制度は、EU統合にむけ欧州および世界的に大学の課程の共通化を図ることを目的として1999年に打ち出された「ボローニャ宣言」により、2002年頃までに「LMD制度」と呼ばれるイギリス型の学位制度となった。

LMD制度における学位は、次のLicence (学士)、Master (修士)、Doctorat (博士)の3つで構成される。

 

Licence (学士):Baccalauréat(バカロレア)と呼ばれる共通試験に合格後、3年間に選択した分野の専門基礎知識を学ぶ

Master (修士):Licence(学士)のあと2年間で更に専門を深める

Doctorat (博士):Master のあと3年間で専門分野の研究能力を養う

 

これらの学位を認定する免状は、国が授与権認証を行うことで統制されており、学位・称号は「国家免状=diplôme national」によって授与される。

インターネット上でフランス共和国発行の国家免状を検索すると、以下の様なものであることが確認できた。

Denis-TRUFFAUT-diplome-Licence-MIAGE.png (1753×1239)のサムネイル
Diplome-national-de-Master-mention-Urba…sme-de-Paris-Rasorahona.jpg (1023×723)のサムネイル

しかし、ここでまた新たな疑問が生じることとなった。

山武市HPで椎名市長が卒業したとする昭和52年=1977年は、前述のLMD制度導入以前である。

LMD制度導入前は法令上、バカロレア、リサンス(学士)、博士が学位とされており、修士(Master)はLMD導入で新たに追加された学位であることがわかった。

すると、椎名市長は当時存在しなかった修士号をどのように取得したのだろうか。

さらに調べてみると、「Master」導入前にも日本語訳した場合は全く同じ「修士」と訳す「Maitries」という学位を確認することが出来たが、これは元々は芸術学部のみに存在していたもので、後に他学部にも広がるが、何れにしても経済学と経営学の「Maitriese」は1993年以降のものであったという記述が確認できた。

参考

フランスの大学・学位制度(「学位と大学」より) 大場淳・夏目達也

LMD制度とフランスの高等教育機関の紹介(在日フランス大使館)

Maîtrise (France) -Wikipedia-

 

3.椎名市長が開示した「証明書」

山武ジャーナルの申し出から4日後の平成29年8月28日に、椎名市長が秘書課を通じて「パリ大学政経人文学部(経済学修士)」学位証明書であると開示したのはこの書面だった。

椎名市長学位証?(20170828)_Redactedのサムネイル

秘書課職員の説明は次の通りだった。

・市長から「本当はもっと小さいもので、これは拡大コピーしたもの」と説明された。(示されたものはA4サイズ。市職員は市長の手ぶりからA4サイズの半分程度のものではないかとの印象を受けている。)

・市長は職員に「フランスの大学はこんなものだ」と説明した。

・市長は職員にインターネットのフランス語辞書のプリントアウトを示し、「MAITRISE」が修士号を表すものだと説明した。

・卒業年月日は1977年4月7日である。(職員に対して「日―月―年の順になっているので間違えないように」との注意があった)

では、これ以降この書面の不審点を指摘する。

・書面の発行者がフランス共和国ではない。

フランスの高等教育制度において、学位の授与はフランス共和国が発行する「国家免状」によって行うことはすでに述べた。

パリ第1大学の国家免状のひな形においても、発行元は「フランス共和国」となっているが、椎名市長の示した「証明書」の発行元は「UNIVERSITE DE PARIS 1 PANTHEON SOLBONNE=パリ第1大学」となっている。

この1点のみにおいても、この「証明書」がパリ第1大学の学位証明書として極めて疑わしいものであるか分かる。

パリ第1大学の国家免状ひな形

・証明者が事務局長

パリ第1大学事務局長が証明する
事務局長のスタンプとサイン

国家免状の署名は通常学長と国民教育大臣(代理)の連名であり、事務局長が学位証明を行うことは通常考えられない。

・「卒業年月日」と説明された日付が、山武市HPの卒業年月昭和52年=1977年10月と明らかに相違する。さらに、この証明書に何を表すか解読するに至らないが「1977年10月17日」という日付が確認できる。卒業が4月だとすれば、卒業後半年後の日付の一体何を卒業証明書に表記する必要があるのだろうか。前述のとおり、職員は椎名市長から「日―月ー年の順になっているので間違えないように」と念押しされており、説明の際に間違ったということは考えにくい。

17日、10月、1977年

*本稿執筆中に秘書課職員から卒業年月日の説明を間違えたとの連絡が有り、こちらの日付が卒業年月日であるとの訂正があった。訂正を受けても本稿の文脈に影響はないことからここに追記したが、市長が「日ー月−年の順になっているので間違えないように」と念押しした部分について、2人の職員が同時に間違えて説明する不自然さがあるので、当初の指摘そのものは削除せずそのまま掲載することとした。


・そもそも、大学の卒業証明書、学位証に当たるものが手書きであることが不審である。

また、本当にフランスの大学は椎名市長のいう「こんなもの」なのだろうか。

「paris1 university graduation(パリ第1大学 卒業式)」で画像検索すると、以下の様な写真が無数に現れる。

大学やコースによって異なるようではあるが、フランスにおいても大学の卒業式には少なくともA4サイズに拡大する必要があるような「こんなもの」ではない、立派な証書が授与されているのが分かる。

これらのことから、現時点で椎名山武市長の最終学歴「パリ大学政経人文学部卒業(経済学修士)」は詐称である可能性が極めて高いと判断せざるを得ない。


*椎名市長が公開した2つのプロフィールのうち、本記事の指摘において詐称の可能性が極めて高いと推定できるのは「パリ大学政経人文学部(経済学修士)」部分であるため、上記結論部分を一部修正した。(平成29年8月30日17:57)


ボールは椎名市長側に投げられた

椎名市長は山武市合併以来3期11年市長を務め、合併前の成東町においても3期12年町長を務めている。

椎名市長が初当選した平成2年の成東町町長選は、ゴルフ場開発に絡む巨額収賄事件で現職だった齋藤昌美町長(当時)が逮捕されたのを受けて実施されたもので、町民は新たなリーダーとしてパリ大学出の秀才で、何よりクリーンなイメージの椎名千収氏に大いに期待していた。

しかし、もし椎名市長がこの疑惑を払拭出来ない場合、一転して山武市民はどの様に感じるのであろうか。

椎名市長はこの様な全山武市民に対する裏切り行為となる深刻な疑惑について、根拠を示して合理的に納得の行く説明を行う義務があるのではないだろうか。

椎名市長の示した「証明書」に対してこれだけの疑いがあるのであれば、椎名市長がパリ大学の修士号を持っている事実の立証責任は椎名市長側にある。つまり、山武ジャーナルが投げかけたこれらの疑惑=ボールは、今度は椎名市長が疑惑を払拭する証拠を提示することで山武市民と山武ジャーナルに投げ返す番という訳だ。

そこで、山武ジャーナルは椎名市長に対して最も容易であり、かつ疑いの余地のない立証方法を提案してみたい。

椎名市長が本当にパリ第1大学の学位を持っているのであれば、国家免状の再発行申請が可能である。

念のため1999年以前の卒業生の申請書を以下に掲示しておくので、椎名市長におかれては一刻も早く国家免状の再発行をして頂き、この疑惑を払拭して頂きたいと切に願うものである。

Diplome_avant_1999-2のサムネイル
パリ第1大学の学位証再発行申請書(1999年以前の卒業生向け)

 

 

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