山武市、地域まちづくり支援員公募条件に「シンハラ語」?

支援員公募センタースライド

山武市は臨時職員として「地域まちづくり支援員」を公募した。

山武市地域まちづくり支援員募集について

公募期間は平成28年4月19日(火)から平成28年4月25日(水)の1週間。

月額305,000円の報酬で任期は1年(更新あり)という好条件で、まちづくりに情熱のある方は是非とも応募したいところだろう。ただし、下記の募集対象に該当すればである。

【山武市「地域まちづくり支援員」募集対象】

(1) 年齢満 20 歳以上で心身が健康で地域の実情に精通し、地域まちづくりに対する熱意と識見を有し、これからの地域コミュニティ形成、協働意識の醸成及び集落活動の活性化に積極的に取り組む意志のある方。

(2) 市内に住民票があり居住している方。又は、居住することが確実な方。

(3) 日本語、英語、シンハラ語の日常会話の語学指導能力がある方。

(4) パソコン(ワード、エクセル、E メール等)の基本的な操作ができる方。

(5) 地域の住民や NPO 団体等の各種活動団体及び行政職員、在住外国人と十分にコミュニケーションがとれる方。

(6) 外国人の場合は、就労が可能な在留資格のある者。

これを見る限り、山武市のまちづくりにどんなに意欲と情熱を持っている方がいたとしても、「シンハラ語」という耳慣れない言語の指導能力がなければ残念ながら山武市のまちづくり支援員になることは叶わないようだ。

では、今回公募する「シンハラ語必須」の「地域まちづくり支援員」とはどのようなものなのだろうか。同じ募集要項に示されている活動内容は以下の通りである。

【活動内容】

(1) 山武市地域まちづくり事業の推進及び普及に関すること。

(2) 地域の巡回、状況把握及び課題の整理分析に関すること。

(3) 地域各団体との協議及び話合いの場づくりに関すること。

(4) 地域住民と行政のほか、生活を取り巻く各種団体との連絡調整に関すること。

(5) 防災、福祉、環境整備及び他地域との連携、交流など住民の生活維持のための自主的な活動への支援に関すること。

(6) 地域の維持活性化にかかるコーディネートに関すること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める職務に関すること。

 

常識的に判断して、山武市でこれらの活動をするにあたり、「シンハラ語」が必要であるとは考えられない。

その辺りの疑問を担当部署である「市民自治支援課」で聞いたところ、以下の様な問答となった。

山武ジャーナル(以下SJ):なぜまちづくり支援員に「シンハラ語」が必要なのか?

市民自治支援課職員(以下職員):シンハラ語はスリランカの言葉。市内には約100名のスリランカ人がいる。その人達が地域にどうしたら溶けこんでいけるのか、あるいはどのような課題があるのかを洗い出す必要がある。また、グローバル化推進のためシンハラ語の語学教室も開きたい。

SJ:「グローバル化」とのことだが、世界でシンハラ語を話す人はどの位いるか?

職員:わからない。

SJ:(シンハラ語を話す人は)1500万人位。日本語を話す人は世界で1億3000万人位いる。英語や中国語ならまだしも、世界で1500万人しか使っていないシンハラ語を推進するのは、むしろグローバル化とは反対の方向ではないのか?

職員:・・・・・

SJ:日本語、英語に加えて「シンハラ語」の日常会話の指導ができるような人材が、1週間の公募期間で見つかると考えているか?

職員:山武市内だけでなくJICAなどにも募集をかけている。実際、すでにそういう方にも来てもらっている実績がある。

SJ:「シンハラ語」の出来る方は見つかるかもしれないが、その方が「地域の事情に精通」という条件を満たせるのか?

職員:山武市ではオリンピックのスリランカ選手団を受け入れることが決まっている。その為にシンハラ語は必要。支援員にはすでにS.I(山武ジャーナル注:昨年の「9条の会」のイベントに出演していた人物の一人)という方がいるので(地域の事情はその方が精通しているので)、サポートをしてもらう。

SJ:この公募は山武市のまちづくり支援の為のものではないのか? スリランカ選手団招致にあたってシンハラ語の通訳が必要なので臨時職員を雇うという話なら理解できるが、山武市のまちづくりとシンハラ語は無関係ではないのか?

職員:・・・・・・

SJ:週明けの月曜日が締め切りだが、これまで応募はあったのか?

職員:内容をよく理解しないで応募してきた方が1名いたが辞退したので、今の所ゼロ。

SJ:実はすでに誰がなるのか決まっているのではないか?

職員:何名かの方には話はしている。

SJ:「公募」という体裁を整えただけなのか?

職員:臨時職員を雇用するときは公募しなければならないので・・・・・・

SJ:「やったふり」ということか?

職員:そう言われてしまうと・・・・・

SJ:その人は外国人か?

職員:まあ、・・・・・

このようなやりとりから、今回の山武市による「地域まちづくり支援員」募集は

① 目的は「まちづくり」ではなく「オリンピック」

② 予め人選されていて、公募は出来レース

であると思料される。

そうだとすれば、問題はまちづくりのため計上された予算が、オリンピックという別の目的に使用されるという点である。

例えるなら、子供が「参考書を買う」といって貰った小遣いでマンガを買ってきた。それ咎めると「今、学校で中国の歴史をやっているから、『キングダム』(三国志を題材としたマンガ)は参考書だよ」といっている様なものではないだろうか。

もし自分の子供がこのようなことをしたら、小筆なら「キングダムが欲しいのなら、それが如何に面白くて勉強にもなるかということを説明し、親を納得させて堂々と小遣いを貰うべきであるということ。そして親を騙すようなやり方は絶対に許さない。」ということを強く指導するだろう。

 

山武市は2020年の東京オリンピック開催にあたり、スリランカ選手団のキャンプ受け入れを表明している。

当初、大きな財政支出はないという主旨の説明をしていたが、ここへ来て成東運動公園の改修費用約4億5,000万円など、約6億1,000万円の予算案が示されている。

山武市によるスリランカ選手団の受け入れについては、当初より疑問を投げかける声が少なくなかったが、ここへ来て一部市議会議員も含め反発が大きくなっている。

もし、市執行部に「オリンピック招致のための臨時職員募集だと反発が予想されるから、名目だけまちづくり支援員にして誤魔化そう」とする意図があるのだとしたら、これはまさに上記の例に挙げた子供の論理そのままである。

このような市政のあり方を是とするか否かを判断するのは、私たち市民に課せられた責任ではないだろうか。